ステーキブームで火がついた薪焼き。TボーンやLボーンなど塊肉への嗜好が高まる中、調理法も炭火焼から薪焼きへと移行していった。

そして今でこそ薪焼き自体はさして珍しくもなくなってきた昨今、新たなスタイルの薪焼き料理店が、麻布十番に誕生した。

その名も、薪和食『鈴田式』。薪火を豪快につかった和食の実力とは?



薫り高き薪火による、新しき和食の可能性
『鈴田式』

薪焼き料理を中心に繰り広げられる和テイストのコースメニューが、早くもグルマンらの注目を集めているのが、この5月に誕生した薪和食『鈴田式』。

仕掛け人は末富 信さん。ご存知日赤通りの人気焼肉店『肉匠 堀越』のご主人だ。

曰く「一昨年、シンガポールの話題店『バーント・エンズ』で食べた薪焼きの肉が衝撃的に美味かったんです。あっ、自分が求めていたものはこれだったんだって思った」そうで、すっかり薪焼きの魅力にはまってしまった末富さん。

それから構想2年、数々の薪焼きの名店を見て回り、ようやく念願の店のオープンに漕ぎつけたというわけだ。

その熱い想いを受け継ぎ、店を任されたのが鈴野省吾さんと田代秀人さんのおふたり。共に和食からフレンチまで様々な経驗を積んできた腕ききだ。



料理は2万5,000円のおまかせコースのみ。『肉匠 堀越』の姉妹店と聞けば、さぞかしバラエティ豊かな肉料理が次々と繰り出されるのだろうと思いきや、さにあらず。

「料理のベースはあくまでも和食。肉も、もちろん出しますが、コースの2〜3割程度。むしろ、旬の魚や野菜の方を中心に味わっていただこうと考えています」とは、田代さん。

コースメニューを覗いてみると、天然うなぎの白焼きあり、黒ムツの焼き霜造りあり。そして満願寺唐辛子の焼きびたしと魚介や野菜が満載だ。



更にユニークなのは、その薪火の使い方。通常、薪焼きは熾火で焼くものだが、ここでは、敢えて薪の炎にかざしているのだ。それも「薪の香りを料理に生かしたい」との末富さんの意向から。

なるほど、〆ののどぐろご飯にしても、のどぐろの頭と骨は薪火で炙ってから出汁をとり、身も同じく炙った後、炊き上がりのご飯に混ぜ込むといった具合。のどぐろの脂と薪ならではの薫香が相まったおいしさはまた格別。



また、黒毛和牛フィレ肉の飯蒸しも同店のシグネチャーメニュー。心に残る一皿だ。場所は麻布十番の街はずれ。その隠れ家的シチュエーションも、興をそそるには充分だ。


風情を感じさせる和テイストな店内。カウンター内にある薪窯が放つ薪火の香りが食欲を刺激する。


スマホで料理を撮影するのが当たり前になりつつある昨今、同店ではスマホの置き場所を設置。充電機能を兼ね備え、iPhoneなら8以上の端末が充電可能。