恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は条件は完璧なのに、結婚できない男の欠点という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が、解けただろうか?



慶太と知り合ったのは、食事会の席だった。今年で36歳になるらしいが、職業はお医者様で、しかも結構なイケメンだ。

「慶太さん、独身らしいよ」
「うっそ本当に!?この東京に、あんなハイスペの独身男性なんて残っていたの!?」

そんなことを女同士で囁き合ったほど、慶太さんは完璧だった。

そして私はこの奇跡の独身男性との出会いを逃すまいと、食事会の終わりに積極的に話しかけ、自分からアプローチを仕掛けた。

「慶太さんってどうして彼女がいないんですか?」
「どうしてだろう…それが分かれば苦労はしないんだけどね」
「じゃあ、私とかどうですか?彼女に立候補してもいいですか?」
「も、もちろん。僕で良ければ」

こうして、晴れて彼女になれた私。けれども、この時はどうして彼が独身なのか、本当に分からなかった。ナゼなら、一見完璧だから。

けれども交際していくうちに、彼が結婚できない理由がよく分かったのだ。


結婚できない男がデートでやりがちな行動とは

解説1:会計に細かい。自分が行きたいお店なのにナゼ割り勘?


最初に疑問を持ったのは、まさかの初デートの時だった。慶太が行きたいと言っていた、予約困難で有名なお店へ行った私達。

「このお店、どうしても来たくてさ。念願叶って予約が取れたんだよ!タイミングが合って良かった」

私の友人のグルメな人たちも何度か予約を取ろうとトライはしているが、なかなか席が取れないと言っていたことを思い出す。

「このお店、予約が取れないことで有名ですよね!?さすが慶太さん!」

しかも、今日は初デートだ。

デートが決まった時からすごく楽しみにしており、メイクも服も気合を入れてきた。今日のためにネイルに行ったし、念のためエステにも行ってきた。



「由紀は何飲む?」
「そしたら私は、まずはシャンパンからいこうかな」

しかし、ぐいっとシャンパンを飲む私の隣で、慶太はお水を飲んでいる。

「慶太さんって、お酒は飲まない人だった?」
「嫌いじゃないんだけど、今日は飲まなくても良いかなと思って」
「そっか。飲みたい日もあるけど、飲みたくない日もあるよね」

たしかに、そんな日もある。肝臓をいたわる日だって必要だ。だから私は、飲む・飲まないはあまり気に留めていなかった。

だが予想外の展開は、会計時にやってきた。

「あ〜楽しかった!慶太さんといると本当に楽しいし、付き合えて幸せ♡」

慶太と話していると面白くて、時間はあっという間に過ぎていく。気がつけばお会計の時間になり、慶太がさりげなくカードでお支払いを済ませてくれている ・・・と思っていた、その時だった。

「ごめん由紀、食事代は払うから、お酒代の9千円だけ貰ってもいいかな」

—え・・・???

思わず、目が点になる。一瞬冗談を言っているのかと思ったが、慶太はどうやら至って本気のようだ。

「もちろん!むしろ慶太さん、飲んでいないのにごめんね」

そう言いながら、慌てて自分のお財布から1万円札を慶太に手渡す。別に、全額支払って欲しいとは言わない。奢ってもらって当たり前だとも思っていない。

だけど今日は初デートだ。女性は準備に色々とお金がかかる。

しかも私が驚いたのは、私が飲んだお酒代をキッチリと計算して請求してきた点だ。

—ちょっとセコくない?

付け加えるならば、このお店は慶太が行きたかったお店であり、もし自分が支払いに加わるならば、もっとコスパの良いお店で良かった。

だが初デートで文句をタラタラ言うわけにもいかず、どこかスッキリしないままお店を後にした。

そしてこの後のデートでも、“え?嘘でしょ?”という行動の連続だったのだ。


まさかそれする?の“マサカ野郎”とは

解説2:自分の見栄のために、完璧な女性を求めすぎている。


交際中もちょこちょこと突っ込みどころが満載の慶太だったが、私が最も驚いたのが、彼の先輩が主催したホムパヘ呼ばれた時のことだった。

「慶太さん、私は何を持って行けばいいかな?」

彼の家で一緒に出かける準備をしていたのだが、慶太は自宅にあるワインセラーを開けてゴソゴソしている。どうやら、持参するワインを探しているようだった。

「そうだなぁ…あの人ワインにうるさいから、もう1本別のワインを一緒に買いに行く?」
「うん!そうしよう!」

こうして私たちは一緒にワインショップへと向かったのだが、ここでもツッコミどころが満載だった。

「これはどうかな?」
「うーん、いいかもだけど、もう少しだけ良い物にしたら?これとかは?」

残念ながら(一見派手に見えるかもしれないが)、客室乗務員の私は、そこまで高給取りではない。私が手に取った1万円のワインは、お給料的に精一杯の金額だった。

けれどもそんな私の懐事情など知らぬかの如く、慶太が私に渡してきたのは、1本3万円もするワインだ。

慶太が買ってくれるならば、話は別である。だが慶太は私にそのワインを渡すと、会計時にはふらりとどこかへ行ってしまったのだ。

—慶太の知り合いなのに、なんで私がこんなワイン代を払っているのだろうか・・・

そんな不満が、ふつふつと湧き上がる。だがこのホムパを通して、慶太が結婚できない理由と、今までの一連の行動に説明がついたのだ。



先輩のご自宅は代官山にあり、とても素敵なマンションだった。私は失礼のないようにきちんと挨拶をする。

「こんにちは、始めまして。今日はお招きいただきありがとうございます」
「いらっしゃい、ようこそ」

優しそうな先輩に招き入れられ、私はすっかりくつろいでいた。けれども、会の途中で急に、慶太が私のことをキッチンから大声で呼んでいる。

「由紀、ごめん。ちょっとこっち手伝ってもらえるかな?」
「あ、ごめん!呑気にお酒飲んでた」

慌ててキッチンへ行くものの、全く動いていなかったわけではない。

先輩と話すのも慶太の面目を潰さないようにと思ってしたことだし、他のゲストの方とも交流を図った方がいいと思ったから、私なりに気を使って行動していた。

だが慶太は、キッチンに立たない私に少し怒っているようだった。

それと同時に、徐々にあることに気がつき始めていた。そして帰り際、慶太からのこの一言でハッとしたのだ。

「先輩がさ、由紀のこといい子だねって言ってたよ。“良かったね”」

—あ〜こういうことか。

ストン、という音が聞こえた気がした。何を納得したかって?慶太が結婚できない理由だ。

それは、彼の基準が全て“人からどう見られているか”にある点だ。

お店選びだって、彼は見栄えの良いお店に行きたがる。でも実際にはこちらにも支払いを求めてくるという、アンバランスさ。

そして極め付けは、先輩や友人から“いいね、素敵だね”と言われるような女性を横に連れて歩きたいという自己顕示欲。

自分が私のことを好きかどうかよりも、ベクトルは、他人が私のことをどう思うのか、にあるのだ。

だから女性の理想も無駄に高く、自分のメンツを守ってくれるような、大和撫子のような子を探しているのだろう。

だが残念ながら、最近の女子は強い。三歩下がってついていく女性は、意外に世の中にいないし、そんな子達は早々に結婚している。

—まぁこれだと結婚できないだろうなぁ。

そう思いながら、私は彼の高すぎる理想についていけるはずもなく、慶太との交際に終止符を打った。


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男女の友情は成り立つのか?