恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は初デートで歯に青のりが付いていることを指摘する男はナシ?という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が、解けただろうか?



大智と出会ったのは、食事会の席だった。既に盛り上がっていたその食事会だったが、30分くらい遅刻して彼はやってきた。

「ごめん!遅くなった!」
「大智、ようやく来たか。遅いよ〜」

大智は、皆に突っ込まれながら笑顔で謝っている。塩顔で、細身の長身。そして肌の綺麗さに思わず目がいった。

「奈緒です。お名前は?」

私の目の前に大智が座ったため、必然的に一番話しやすい。

「大智です。よろしくね」
「今までお仕事だったんですか?あ、その前に何飲まれますか?」
「うん、ちょっと会議が長引いちゃって。そしたらビールをもらおうかな」

大智のような男性は、少しタイプだ。私はそそくさと彼の飲み物をオーダーするなどし、気をつかっていた。

そしてこの日私たちは盛り上がり、二人で食事へ行く約束までした。だがその初デートで、“彼はないなぁ”と見切ったのだ。

初デートで青のりを指摘されたから?それとも・・・


この後の二次会で、女が感じた違和感とは?

解説1:距離が近かったのは、カラオケで周りの音がうるさくて声が聞こえなかったから。


初めて会った食事会の日、一次会ですっかり打ち解けていた私たちは、二次会の『J&H』に移動してもずっと隣にいた。

—これは良い感じかも?

そんなことを思いながら、話し続ける。だが、彼の会話の中で、少し引っかかる箇所があったのだ。

「奈緒ちゃんは何歳なの?」
「私は31歳ですよ〜。大智さんはおいくつなんですか?」
「僕も同じ歳だ。“意外”。そしたらさ、敬語やめない?」

—いやいや、意外って失礼でしょ。

そもそも年齢を聞くのも失礼だが、同世代なのに“意外”って何なのだろうか。

もっと年上に見えたってこと?若く見えたってこと?どちらにしても失礼なことに変わりはない。

けれども、うっかり言ってしまった可能性もある。気をとりなおし、同じ年であると分かった以上、敬語をやめることにした。

「分かった、じゃあタメ語にするね」

だが話そうとしても周囲のカラオケの音がうるさくて、大智の声はほとんど聞こえない。

だから私はぐっと大智に近づいて、彼の声を拾おうとした。



「奈緒ちゃんって、絶対モテるよね?」
「それが全く。今は彼氏もいないし」
「嘘でしょ本当に?なんで?じゃあさ、結婚は?」

ーそんなにも彼氏がいないってダメなことですか?

思わずそう突っ込みそうになるくらい、矢継ぎ早に質問をしてくる大智。別に好きで独身でいるわけでもないし、理由を聞かれたところで答えは持ち合わせていない。

「一回もしてないよ〜。そういう大智くんの方は?」
「俺も一回もしていないし、彼女もいない」
「そうなんだぁ。大智くんもモテそうなのにね」

今は、お酒の席だ。好奇心から聞いてきている可能性もあるし、根は悪い人ではないはずだと自分に言い聞かせながら私は笑顔を作っていた。

「俺さ、この前美味しいお好み焼き屋さん見つけて」
「どこどこ!?知りたい♡」

私が関西出身だと知ると、無邪気に自分のオススメのお店を教えてくれた大智。

引っかかることはあったものの、顔もかっこいいし話も面白い。現にこうして一次会からずっと一緒にいるのは、お互い何かしら惹かれ合っている証拠のはず。

「今度、よければご飯いかない?二人で」
「いいよ。そしたら、LINE交換しようか」

こうして、次は二人で会う約束をした。


迎えた初デートで待っていた、“青のり事件”の真相は!?

解説2:他のことはズケズケ言うのに、逆にどうして青のりは指摘しないの!?


そして迎えた、大智とのデート。

「本当に、初デートはお好み焼き屋でよかったの?もっとほら、高級なお店とか色々あると思うけど…」

しきりにカジュアルなお店が初デートの場所で良いのか、という点を大智は気にしてくれているようだが、そんなことはどうでも良かった。

「うん、もちろん!この前約束していたしね」
「奈緒ちゃんって、本当に最高だよね」
「本当に?そう言ってもらえると嬉しいなぁ」

元々、“美味しいお好み焼き屋さんを見つけたよ”という話から発展したことだし、キラキラのレストランも良いけれど、たまにはこんな初デートがあってもいいと思っていた。

そんなことよりも、私が気になったのは次の大智の発言だった。

「うん。だから“その歳まで独身でいる”のが、本当に不思議。世の中の男は見る目がないね」

—またですか・・・

この前から薄々感じていた、大智のデリカシーのなさ。今日も早速飛び出した失礼な発言に、デート開始早々、私は少しムッとしてしまった。

「はは、ありがとう。そんなこと言ってくれるの、大智君くらいだよ」

笑顔でかわしながらも、鉄板越しに大智の顔を真正面から見据えてみた。本人に悪気なんて全くないようだ。

しかし、“その歳まで独身”とか言われた方はどれほど傷つくか、1mmも分からないのだろうか。

お好み焼きを食べながら、私はどんどん彼の発言に嫌気がさしていく。



「ってかさ、このLINEのアイコン、誰?(笑)」
「あぁ、それ私の5年前の写真(笑)すっごく盛れて美人に撮れた写真だから、それ以外になかなか変えられなくて」

—いいじゃん、別に。なんでそういう事を言うのかな…

自分が最高に美人に写っている写真をアイコンにして、何が悪いのだろうか。そんな事いちいち、つっこむ事でもないし、そっとしておいてほしい。

段々と帰りたくなってきて、お手洗いに立った。だがその時に、私は鏡で発見してしまったのだ。

前歯の隙間にしっかりと挟まっていた、青のりを。

「え!?これ、いつから付いていたんだろう….」

慌ててそこに置いてあった爪楊枝で青のりを取る。初デートなのに、これは恥ずかしい。 私はずっと、青のりが付いたまま呑気に会話をしていたのだろうか。

もしかしたら彼が気づいていない可能性もある。だけどもし気づいていたなら、そのまま触れずにいるのも余計恥ずかしいので、一か八か、思い切って自己申告してみることにした。

「も〜歯に青のりが付いてたなら、言ってよ。恥ずかしいじゃん」

顔を赤らめながら席に戻ると、大智はニコニコとしている。

「いや、気にはなっていたんだけど言えなくて(笑)」

—え。やっぱり気づいてたの…?

彼はヘラヘラ笑っているけれど、歯に青のりが付いているのをずいぶん長い時間見られていたかと思うと、余計に穴があったら入りたい気持ちになった。

ー他の失礼なことは言えるのに、逆になんで青のりは言えないの!?

大智の感じる“相手に失礼”のレベルが、全く分からない。

青のりを注意するのが失礼だと思うならば、もっと他の発言に気をつけるべきである。(むしろ、青のりは早めに注意して欲しいと思う)。

「ちなみに、奈緒ちゃんってどういう男性がタイプなんだっけ?」
「私は優しくて尊敬できる人かなぁ。大智くんは?」
「僕は笑顔が可愛い子かな。年齢は全然関係ないんだけど、芸能人で言うとすずちゃんとか」
「それは男性全員が好きでしょ。その答えはずるいよ〜」

一体、何なのだろうか。目の前にいる私とは年齢も外見も似ても似つかない、“本当に”タイプの芸能人を平然と言ってしまう、無神経さ。

もはや呆れて、笑うことしかできなかった。

多分、彼は何も考えていない。相手がどう受け止めるのかなんて、 気にもしていない。

自分の発した言葉によって、誰かが傷つくこともあるし、落ち込むこともあるなんて想像もできないのだろう。

デリカシーのない男。

これはどう頑張っても直しようがない上、むしろ友達としてすら付き合いたくもない。

そう思い、私はご飯のお礼だけして既読スルーをすることにした。


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私のこと、遊びだったの!?(涙)