「僕は、彼女のことを何も知らなかった…」

プロポーズした直後、忽然と姿を消した彼女。捜索の手掛かりは、本人のものだと思われるインスタグラムのアカウントだけ。

―彼女が見せていたのは、偽りの姿だった?

インスタグラムに残されていた、慎ましやかな彼女の姿からは想像もできない世界とは…。


2021年も頑張りましょう。昨年2020年のヒット小説総集編、「彼女のウラ世界」一挙に全話おさらい!


第1話:プロポーズ後に姿を消した彼女。慢心が招いた男の誤算とは

彼女との間に軋轢など一切なかった、と思う。確かに自分は激務と言われるテレビ局勤務の、ドラマ制作に携わるディレクターだ。港区の仕事場から自宅へ、寝るためだけに帰るということは頻繁にある。

だけど彼女はいつも「それで大丈夫」と言ってくれていたし、時にはバッグをプレゼントしたりしてご機嫌をとってきた。…不満なんてあるわけない。

それに3日前の夜、指輪を受け取った彼女の顔は、今まで待ち望んでいたものをついに手に入れたという満足感にひたっているように見えた。それは、ただの思い込みだったのだろうか。

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第2話:突如、姿を消した恋人。残されたインスタアカウントから暴く、女の本性とは

このアカウントの主が明子であることは、ほかのいくつかの料理投稿からみても明らかであった。

しかし、投稿された写真のほとんどが“見覚えのないレストランの写真”であったせいで、敏郎は自分の判断に自信が持てないでいた。

銀座のダイニング、赤坂のフレンチ、恵比寿のバー、横浜の老舗イタリアン。物静かで慎ましい明子が訪れているとは思えない、華やかな場所の数々。

投稿の日時は、過去に敏郎が仕事で、長期間家を空けていた時期と一致する。その事実が「@emodaw_sihrtoa」イコール明子であるという可能性をさらに強めたのだった。

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第3話:「インスタチェックしてるなんて気持ち悪い」悲劇に酔う男に突き付けられた、女の本音

「どうして別れちゃったの?」

香澄はインスタを眺めながら、片手間でデリカシーのかけらもないことを聞く。敏郎だってその質問は、明子にいちばん聞いてみたいことなのだ。

イラっとする気持ちを抑えながら、敏郎は精いっぱいの強がりで答える。

「さあ。というか、まだ自分は別れたつもりないけど」
「じゃあ、最近別れた系ですか?」

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第4話:別れた彼女の職場に、突然押し掛ける元・婚約者。非常識な男に伝えられた、衝撃の事実

敏郎はその日、有給休暇を取得し、新宿へと向かった。新宿西口にあるビルの一角に、明子が勤めている旅行会社のカウンターがあるのだ。

「いらっしゃいませ」

午前中であるせいか人もまばらな店内を、敏郎はぐるりと見渡した。

「やっぱり、いないか」

明子の姿はなく、敏郎は逆にホッと胸をなでおろす。それもそのはず、彼女のシフトが入っているはずの曜日を避けてきたのだから。

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第5話:「あなたに話があるの」5年振りに再会した女から突然の連絡。彼女が伝えたかったこと

「愚痴ならつき合うよ。私、今日敏郎さんに話があって呼び出したの」
「…また今度にして」

目を合わせない敏郎に、香澄もすぐ諦めることにした。

「そ。じゃあ、また今度」

そう言うと香澄は敏郎に背を向けて、街の中へと消えていく。あまりにも簡単に引き下がった彼女に多少の寂しさを感じながらも、敏郎もまた、まっすぐ駅の方面へ吸い込まれて行った。

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第6話:「尽くしてくれる彼女に甘えたい」彼女に“母親代わり”を求めるアラフォー独身男の本音

「トシ君、お父さんの七回忌はいつ来るの?せっかくだからゆっくりしていきなさいよ」

電話の主は、故郷・富山に住んでいる、母の典江だった。敏郎はガッカリしつつも、こうやって母の声を聞くのも久しぶりだなと、どこか懐かしい気分になる。

「ママさ、何なのこの番号」
「ふふ。安いって電気屋さんがいうからスマホにしたの。で、どうなの」

典江も敏郎と久々に話せたからか、声が弾んでいる。しかし、敏郎は振り払うかのように言い放った。

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第7話:「家事さえしてくれれば、それでいい」婚約破棄された男の傲慢な考え

―まさか、明子がいるとは…。

敏郎は今すぐにでも彼女のもとに駆け寄りたかった。

しかし彼女と同席している外国人らの存在と、法事帰りゆえに廉価品の喪服姿であるという事実が、衝動にブレーキをかける。オーバーリアクションで笑う明子の背中を眺めながら、敏郎はイラだちが隠せない。

―本当の君は、そんなんじゃない。

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第8話:「僕が教えて、成長させてあげる」14歳年下の女にハマった男が、こっそり企んでいたこと

敏郎が予約していたイタリアン『恵比寿es』の個室には、時間前にも関わらず、すでに優里菜が待っていた。

「ごめん、待った?」
「撮影終わって、今来たばかりだから大丈夫です」

にっこり笑う彼女に、敏郎の頬も緩む。『銀座 ライム』で出会った夜以来、敏郎は優里菜と何度か会うような間柄になっていた。

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第9話:「学歴も収入も負けている女と、結婚できる?」婚約破棄された男のプライドが、打ち砕かれたワケ

『2019年上半期の定例会が行われ、政財界のみならず多くの著名人の方々にもご参加いただきました』

写真は、その後に行われた会食の時の様子だという。そこには、メディアにも多数出演している有名な飲食店の社長や、起業を目指しているという元スポーツ選手の姿もあった。

―なんだこれ。胡散臭いな…。

敏郎は目の前の事実を否定することで冷静さを保とうと努力する。反対に香澄はその投稿の全てを受け入れ、納得しているようだった。

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第10話:「ベッドの上で見せた笑顔は、幻だった…?」付き合いたての彼女の態度が、一変したワケ

「そんなカンペキな人、今どきいないよ?」

―実際、いるんだよ。

敏郎は口に出すのをぐっとこらえる。すると、優里菜はため息をつきながら起き上がり、すぐに身支度を始めた。

「どうしたの」
「帰る。これから仕事あるし」

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第11話:「婚約破棄した男が、すぐに年下の女と…」共通の友人から聞いた、ゾッとする噂話の真実

日記代わりに日々の食生活をアップしていたところ、見知らぬフォロワーも思いのほか増えましたが、特に不便はありませんでした。そう、この瞬間までは。

「あれ?」

コメント欄に、ざっと見て30行以上あるかもしれない長文が投稿されていることに気付きました。

投稿者名は…。私が少し前まで一緒に暮らしていた男性でした。

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第12話:「温情で結婚を申し込んでやっただけ」勘違い男のプロポーズに、元恋人が見せた反応は

ある日、香澄から連絡があった。自身の結婚パーティーへ参加してほしいのだというのだ。

「きっと気晴らしになると思うの」

約1か月前という近々の招待に、敏郎は誰かの穴埋め要員だろうと気乗りがしなかったが、会場の『リストランテ ASO』は、敏郎の住む中目黒から徒歩で行ける距離にある。

友人同士だけのカジュアルなパーティーということなので、食事に行く程度の軽い感覚で敏郎は参加を決めたのだった。

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第13話:「勝手にどうぞ、お幸せに」元カノの婚約報告に、男が嫉妬心を剥き出しにしたワケ

「ごめんね。ママがもうすぐ帰ってくるから、それまではシッターさんと遊んでてね」

慌てて迎えにきたシッターに彼女を預けると、敏郎は何気なくスマホを開いてTwitterを眺める。トレンドを確認すると、アンドリュー・ロペスの名前があった。

―また、例の映画の件か。

うんざりしつつもどこか胸騒ぎを感じた敏郎は、その文字をクリックする。すると、目を疑うニュースが飛び込んできたのだ。

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