久しぶりの再会で、燃え上がったのに…。一夜で女の態度が急変したワケ
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「再会を果たした女の態度が急変した理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:8年ぶりの再会に、惹かれ合う男女。しかし手に入りそうだった女が、身をかわした理由は…
橘恭平と再会したのは、去年末に開催された同窓会だった。
同窓会といっても地元が横浜なので、普段からよく集まっている。その時は仲の良い人たちのみが集まる、小規模な会だったのだが、恭平はそこに久しぶりに顔を出したのだ。
「あれ?小松?」
個室に入ってくるなり真っ先に私の名前を呼んでくれた彼に対し、私は思わず笑顔になってしまった。
「橘くん?久しぶりだね〜」
学生時代、恭平はイケメンで爽やかなサッカー部のエースだった。もちろんそのモテっぷりは凄まじく、常に女子が周囲に群がっていた記憶がある。
そんな彼と忘年会で再会し、話が盛り上がらないわけがない。
お互い東京住まいで、独身。最初は、この再会に胸を踊らせていた。
ただ徐々に、「なんか違うなぁ」と思い始めたのだ。
学生時代のモテ男との再会。独身同士で、よき方向に進むはずが…?
A1:変わらず素敵だなと思っていた。
同窓会で再会して以来、連絡を取り合っていた私たち。そんな最中、金曜の夕方に恭平から連絡が来た。
― 恭平:小松、急なんだけど今夜空いてたりしない?一杯どうかなと思って!
幸い、今日は私は何も予定がない。すぐに私は返信を打った。
― 結奈:私もちょうど、飲みたいなぁと思っていたところ!飲もう♡どこにする?
とりあえず駅で待ち合わせをすることになったのだが、恵比寿西口に佇む恭平は学生時代と変わらずスラッとしており、初めて見るスーツ姿に思わず顔がにやけてしまう。
「小松、ごめんね急に」
「ううん。橘くんからの連絡だったら嬉しいから♡」
私なりに、積極的にアピールしていたつもりだった。
「どこ行こうか」
「ご飯はもう食べた?飲むなら好きなお店があるんだけど、そことかどうかな?」
「いいね、行こう!」
そして私ははやる心を抑えながら、よく行く『ピットフォール』へと向かった。
「さすが、いい店知ってるね。初めて来たよ」
「家が近くて。みんないい人たちだし、おすすめのお店だよ」
そう言いながら、はたと気がついた。恭平とは久しぶりの再会だ。行きつけのバーがある女って、どういう風に見られるのだろうか、と。
でも今はお酒が好きな女性も珍しいことではないし、素敵な時間を過ごせる自分の居場所を持っておくことは、東京に住む独身女性には大切なこと。
そんな小さなこと、きっと気にしないだろう。そう思い、私はこのデートを思いっきり楽しむことにした。
「小松と2人で飲むことになるなんて、不思議だなぁ」
「そんなこと言うなら、橘くんのほうこそ。バレンタインとかすごかったイメージがあるけどなぁ」
とにかく、高校時代の恭平はかっこよかった。あの時の私には彼が眩しかったほど…。いいなと思っていた時期もある。
「そうかな?」
「そうだよ。橘くん見るために、サッカー部の練習場の周りは常に女の子が群がっていたじゃん。でも2年の時から付き合い始めた彼女が怖くて、結局誰も近づけなくなったみたいだけど(笑)」
「あったね〜そんなことも」
優しく微笑む恭平の笑顔は、昔と何も変わらない。その事実が、私の心を優しく包んでいく。
― もう少し、彼のこと知りたいな。
するとそんなもどかしさを察してくれたかのように、恭平がこんなことを言ってくれた。
「ってかさ、苗字で呼ぶのやめない?なんか他人行儀というか…」
「そうだよね、私もそれ思っていた(笑)。じゃあ恭平くん」
「僕の名前、よく覚えてたね」
「当たり前だよ〜。橘くん…じゃなかった、恭平くんは校内の有名人だったから」
「よく言うよ。結奈のほうこそ」
お互い、恥ずかしくて思わず目をそらす。自分でもなんて初々しいんだと嫌になるくらい新鮮で、でもどこか懐かしくて安心する。
そして解散間際。私はまた会いたいと思い、素直にこう伝えたのだ。
「じゃあ、またね」
「うん、また…。ねぇ恭平くん、来週は忙しい?」
「来週?暇だけど」
「じゃあまたご飯行かない?」
「もちろん!!」
― 再会できて、良かったな。
この時は、そう思っていた。けれども次に会った時に、私は彼の真の姿を見ることになるのだ。
学生時代の憧れだった彼はどこへ…。女が興醒めした理由とは?
A2:SNSを見て卑屈になる男は嫌。
楽しみで仕方なかった二度目のデートは、すぐにやってきた。
だが恭平は、予約してくれていたお店に到着するなり、こんなことを言い始めたのだ。
「ごめん、こんな店でよかった?」
最初は、何を言っているのかよくわからなかった。カジュアルだけれどお洒落な店内に、感度のよさそうなお客さん。選べるワインの数が多いのも、嬉しいポイントだった。
「何が?全然いいよ。すごく素敵だし、このお店」
そう言って私は次の会話へ移ろうとしたけれど、次の言葉でつっかえてしまった。
「いや、結奈いい店たくさん知ってそうだし、実際行ってるから…」
― あ。私のインスタでも見たのかな?
咄嗟にそう悟った。私の名前は検索すればすぐに出てくるだろうし、他の高校時代の友人ともつながっている。彼が私のSNSをチェックすることは、不思議なことではなかった。
「そんなことないよ〜。インスタの写真かな?あれは華やかな部分しか載せてないからね」
私が気になったのはここからだった。
「というか、堀田さんとか知り合いなの?マジで顔広いな。結奈すごいよな…。いつからそんなパーティーガールになったんだよ」
「パーティーガールじゃないよ(笑)。普段は職場と家の往復だし。仕事柄、ちょっとそういう付き合いがあるくらいで」
「そうなの?俺なんかからすると、だいぶ華やかな生活だよ」
― うん……?恭平、こんな面倒な男だったっけ?
さっきから、妙に引っかかる気がするのは私だけなのだろうか。PRという職業柄、いろんな人と飲みに行く機会がある。東京に住んで、早10年。人脈も増えるし、顔も広くなる。
「恭平くんは?最近どうなの?」
話題を変えてみるものの、恭平はまだ同じような話をしている。
「僕は結奈と違って、全然地味な生活だよ〜。特にコロナになって以降、飲みに行く機会も減ったし…。人様に見せられるような生活は何もしてないかな(笑)」
なぜ、こんな卑屈なのだろう。学生時代は、いつも輪の中心にいた恭平。だが今目の前にいる彼は、女性の私にも嫉妬心をむき出しにする、小さな男になっていた。
「そうなの?意外。私も、最近は飲みに行く機会減ったよ」
「嘘だ〜。結奈は華やかでいいよな」
学生時代に輝いていた彼は、もういなかった。
「そっか。ちなみに結奈って…今、彼氏とかいるの?」
「今?いないよ!いたらここに飲みに来ないでしょ」
「そうなんだ。じゃあ俺にもチャンスあるかな?平凡なサラリーマンだけど…」
― なんでそんな言い方するの?
SNSなんて、しょせん虚構の世界である。普段の何気ない、平凡な生活は見せないようにしている。
それなのに私と一緒に写っている経営者や、華やかそうに見える一部だけを切り取り、揶揄してくる恭平が残念な男に見えてきた。
そして帰り際。恭平に誘われた私の返事は、決まっていた。
「結奈、またご飯行こうよ」
「うん、いいね!次回さ、せっかくだったら東京にいる高校メンバーも呼んでみない?」
「みんなで?もちろんいいけど」
友達としてなら、最高だ。でも彼氏にすると、きっと今の人脈だけでなく、仕事のことなどでも色々と言われ、勝手に卑屈になられそうな気がする。
― 男は、スカッとしていないとね。
そう思い、彼とは友達でいることを決めた。
▶【Q】はこちら:8年ぶりの再会に、惹かれ合う男女。しかし手に入りそうだったのに、女が身をかわした理由は…
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人妻になった元カノからきた、連絡。その時男は…