男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「イイ感じなのに、女が一線を引いている理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:男の家へ頻繁に来る女。男が好意を伝えても、女が3ヶ月もスルーする理由は?



日曜の朝。隣で眠っている隼人を起こさないように、スマホでそっと時間をチェックする。

「9時かぁ…」

きっと隼人は、まだ起きないだろう。毎週末、お酒を飲んだ翌日だと隼人が起きてくるのは10時くらいだから。

ベッドの上でLINEを見たりSNSを見てから、1時間ほどして私はシャワーを浴びるためにベッドから起き上がった。

「なんなんだろうな…」

シャンプーが足元に水と共に流れていく。その消えゆく泡を見つめながら、私は深くため息をついた。

隼人のことは好きだ。けれども、どうしても一歩踏み出せないのには理由があった。


A1:本能的に、惹かれていた。


隼人と出会ったのは、友人の紹介だった。隼人たちが男3人で飲んでいた場所に急に呼ばれ、私は女友達と二軒目から参加することになった。

― 何この人。すっごいカッコ良くてタイプなんだけど。

隼人を一目見た瞬間、思わず息をのむ。高身長なのに、少し甘めの塩顔。鼓動が一気に速くなった。

しかもその見た目とは裏腹に、腰も低くて良い人だった。

「名前は?僕は隼人です」
「友里です。隼人さん、身長高いですね」
「低くはないかもだけど…それより、こんな時間から来てくれてありがとう」
「いえいえ。ちょうど飲んでいたので!むしろ楽しそうな会に呼んでいただきありがとうございます!」

この日は夜遅くまで飲み、解散になった。そして翌日。グループLINEから私を見つけてくれて、わざわざ隼人は個別でメッセージを送ってきてくれた。

― hayato:昨日はありがとう!また飲みましょう。
― 友里:昨日は楽しかったです。ぜひ是非♡

ただ、きっとこれで終わりだろうなと思っていた。

なぜなら隼人はカッコいいし優しいし、絶対にモテる。具体的な日程の誘いもないし、社交辞令として捉えていたから。

しかしこの数週間後。同じメンバーで、また飲めることになった。



「友里ちゃん、また会えたね」
「隼人くん、久しぶり〜」

モテる隼人は、最初は別の子と話していた。女友達も、完全にうっとりとしている。けれども最後は隼人のほうから私の隣に座ってきて、話しかけてきてくれた。

「友里ちゃんって可愛いよね」

優しい言葉も、ちゃんと言える。なんて甘い男なんだろうか。

「そんなことないよ。隼人くんもね…って、隼人くんって何歳なの?」
「今?28だけど」

ただ隼人の年齢を聞いて、言葉に詰まってしまった。同じ歳くらいかと思っていたけれど、まさかの20代だったから。

「え…嘘でしょ」
「友里ちゃんは?」
「私は32だよ〜」

正直に言うと、前回会った時から隼人のことをいいなと思っていた。惹かれるところもたくさんある。

でも今私は、結婚を真剣に考えているお年頃。だけど隼人はまだ20代で、一番楽しい時…。

「え?友里ちゃん若く見えるね」
「本当に?ありがとう。隼人くん、年下だったのか」
「でもそんな変わらなくない?(笑)」
「まぁね。4歳しか変わらないけど」

4歳しか変わらない。でもこの年齢の4歳は、とても大きい差だと思う。



しかしこの日、状況が大きく動く。そもそも終電なんて誰も気にしていなかったけれど、解散したのは24時を過ぎていて、それぞれ同じ方向の人たちでタクシーに乗ることになった。

そして偶然にも、私と隼人だけが代々木上原方面で、2人っきりでタクシーに乗れることになった。

「じゃあ…送っていくね」
「うん、ありがとう」

少し気まずくて、タクシーの車内で無言になる私たち。

― 隼人とこの先、何か進むこととかあるのかな…。そもそも、私のことどう思っているんだろう。

そんなことを考えていると、隼人が急に手を握ってきた。それが、サインだった。

「友里ちゃん…良ければこの後、ウチ来る?」
「うん…」

結局このまま素直に隼人の家へ行き、一夜を共にしてしまうことになる。

でも翌朝目が覚めた時、決して嫌な思いはしなかった。でも同時に、こうも思った。

― 隼人にとっては日常茶飯事で、きっと私はその他大勢の女のうちの一人でしかないんだろうな。

そしてここから、私と隼人のこういう関係が続いていくことになる。


A2:年下のモテ男相手に、本気になるのが怖い。


初めて体を重ねた日から、隼人からの連絡はたしかに増えた。でも連絡が来るのはいつも二軒目の時間で、デートの誘いなどではない。

「友里ちゃん、本当今日も可愛いね」
「隼人は、口がうまいね〜。何人の女性が涙を流してきたんだか」
「そんなにいないよ(笑)」

会うたびに優しくて甘い言葉を囁いてくれたけど、彼の本心が掴めない。

そして他にもたくさん遊び相手のいそうな隼人に対して、本気になるのが怖かった。

「友里ちゃんって、今彼氏いないの?」

珍しく、食事に誘ってくれた隼人。『Merachi』を予約してくれていたのは純粋に嬉しかったけれど、彼氏の有無を聞かれ、色鮮やかなサラダに思わず視線を落とす。



― 隼人にとって、この質問は何を意味するんだろう…。

私から、“好きだ”と言えばいいのかもしれない。

でもそんなことを言ったら隼人が困るのは目に見えている。それにこの歳で無駄に傷つきたくない。

だからどうしても予防線を張ってしまう。自分が傷つかないために…。

「いないよ。いたらこんなことしないでしょ」
「そっか…」
「ところで隼人、仕事は?順調?」
「うん、おかげさまで。独立に向けてなんとか頑張っているよ」

仕事も正念場の彼にとって、恋愛なんてしている暇はないだろう。ましてや結婚なんて、絶対にない。

「そっか。頑張ってね」
「ありがとう。友里ちゃんも仕事忙しそうだね」

隼人といると、核心をつかない会話ばかりが流れていくようだ。

私も自分の気持ちに蓋をしてどうにかやり過ごしていたけれど、そんな時間に意味があるのか、わからなくなる時もあった。



ただ毎回体の関係を、お互い求めあっていたわけではない。家には行かず、帰ることもあった。

「友里ちゃん、今日はどうする?」
「明日、朝が早いから帰ろうかな」
「そっか、了解。ここから帰れる?」
「タクシーに乗っちゃうから大丈夫だよ。今日もありがとう」
「うん、こちらこそ。またね」

家に行かずに、ちゃんと帰る。でもそれは、私の最後のプライドでもあった。

この結婚願望のない、本心の見えない男にハマっていないという自分なりの立証。むしろこちらが“遊んであげている”と思いたかった。

結婚相手ではない。でも惹かれてしまう…。

大人になると、自分を守ることばかり考えるようになってしまう。過去の経験や見栄、損得勘定や自尊心が邪魔をして、素直になれない。

隼人の気持ちに確信が持てないなかで、関係性を進めるのは怖い。

「私にもっと勢いがあったら良かったのかな…」

傷つくことへの恐怖などで頭でっかちになり過ぎて、動けずにいる。だから私は今日も、ふわふわとした気持ちと共に、曖昧な関係を続けている。


▶【Q】はこちら:男の家へ頻繁に来て、関係を持つ女。でも女のほうから「交際しよう」と言ってこない理由は?

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

▶NEXT:9月10日 土曜更新予定
男がどうしても気になる、女のアノ箇所…