塊だからこそ火がゆっくりと肉に入り、絶妙な焼き加減が味わえるというもの。
もちろん、ボリュームも申し分なし! いざ、塊肉ワールドへ。


『サトーブリアン』
シャトーブリアン

阿佐ヶ谷

ご主人の名前が佐藤明弘さん。その佐藤さんが焼くシャトーブリアンが名物ゆえ、店名も『サトーブリアン』。まるでダジャレのようなネーミングながら、味は本物。A4〜5ランクの九州産黒毛和牛のみを扱う徹底ぶりだ。

しかも、コストパフォーマンスはバツグン。中でも、特筆すべきは店名通り“シャトーブリアン”。ヒレの中心部の一番太い部分のことで、ヒレ1本から5〜6人前しか取れない希少部位だ。そんな高級部位もリーズナブルに提供している。

ステーキ店ではおなじみでも、焼肉店では珍しいシャトーブリアンをあえて出す理由を尋ねれば「お客さんの反応が、他のどの肉を食べるよりも圧倒的にいい。A5ランクの厳選した黒毛和牛になると、なんともきれいな脂肪(サシ)が入るんです。ただ柔らかいだけではなく、味わいの余韻が長いですね」。

ほかの赤身の部位に比べ、肉質がきめ細やかなのはシャトーブリアンならでは。その美味を堪能するならぜひ塊で。ゆっくり火を入れることでデリケートな旨味を逃すことなく味わえる。


『RRR』
神戸牛内モモ炭火焼

六本木

六本木は芋洗坂にある肉ビストロが『RRR』だ。この店ではまず味わいたいのは、3種類が用意された黒毛和牛の炭火焼ステーキ。これらを100gから、100g単位で食べたい分だけカットしてくれるのも、肉食党にとっては見逃せないサービスでは?

霜降り派なら“近江牛サーロインA5”もいいが、昨今流行の旨い赤身肉をお望みなら“兵庫県産最高級神戸牛ウチモモ”をぜひ。どうせならガツンと500〜600gの塊を焼いてもらうのが得策だ。

ほどよくサシの入ったウチモモ肉は、水分をとばす程度に、2週間ほどドライエイジングされている。備長炭にかざしつつ、600gの肉塊を約40分かけてゆっくり焼きあげたウチモモ肉の味つけは塩のみ。

だが、塩だけで十分と思えるほど、和牛ならではのコクのある旨味と豊かな風味が口中に広がる。それでいて後口が軽いのは肉が上質ゆえだろう。ワインと共に手ごろな値段で味わえるのも嬉しい限りだ。


ジューシーなヒレカツ&飴色に輝く豚スネ肉!

『ポンチ軒』
究極のヒレ一本揚げ

新御茶ノ水

とんかつフリークを自認するなら、一度は試してみたい逸品が、ここ『ポンチ軒』の名物「究極のヒレ一本揚げ」である。豚は、旨みの濃い沖縄豚。これをゴマ油とコーン油をブレンドした揚げ油で静かにゆっくりと揚げていく。

「中心部まで火を通しつつ、パサつかせないよう揚げるには、温度のキープが肝心。140℃をキープしながら、約15〜20分ほど揚げたら、今度は145℃に揚げて約5分。周りをカリッと揚げ切る」のが、『ポンチ軒』スタイルだ。

対して、サクッと艶やかな衣の中から現われたのは、肉汁を湛えて潤う肉片。仄かにピンクを帯びた芯の部分が、キュイソンの見事さを物語る。このギリギリの火加減から生まれるジューシーさも、500gの塊で揚げればこそだろう。カツはロースに限るという向きも納得のおいしさだ。

ちなみにこの店、フライの旨さで定評のあったあの赤坂『フリッツ』のリニューアル店。そう聞けば味の方は推して知るべしだろう。


『趙楊』
豚スネ肉のトンポーロウ

新橋

飴色の光沢を放つ豚スネ肉は、1点のムラも、焦げもなくそのなめらかにして艶やかな輝きは、美食家の目をしばし釘づけにする。これが“東坡肘子”。趙氏によれば、この料理が、あの“東坡肉(トンポーロウ)”の原型。北宋時代、四川省出身の名詩人蘇東坡により考案されたものだとか。

食べ比べてみれば、バラ肉よりもこちらに軍配が上がる。何といっても、皮の厚みとプルプル感が段違いなのだ。加えて、スネ肉特有の肉質である。とろけるような皮の食感と筋肉質な身の旨みとの絶妙なコントラストが舌を飽きさせない。煮込んだソースの上品な甘さと軽やかな辛味が食欲に拍車をかける。

八角や丁子、肉桂など数種類のスパイスと白酒や紹興酒で煮込むこと約8時間。「沸騰させぬようにトロ火で温めるように煮あげる」スネ肉は、実に香り豊か。それでいて肉本来の旨味をきちんと残しているのはさすが。骨付きとはいえ2キロ余りの塊も、思いのほかスンナリと胃に収まることうけあいだ。


きめ細かく柔らかな食感!仔牛&仔豚の塊肉

『アンビグラム』
仔牛のロースト

広尾

まるで肉のオブジェの如きこの迫力!

肉ラバーならずとも思わず息を呑む豪快な一品は、イタリア料理店『アンビグラム』の一押しメニューだ。

同店の代表マネージャーは、あの『ドン・チッチョ』で表の顔を努めた米津真寛氏。ここでは、『ピンキオーリ』などのリストランテ畑を歩いてきた伊沢浩久シェフとタッグを組み、リストランテの繊細さとトラットリアの骨太さを兼ね備えた新たな味とスタイルを目指している。

肉料理も然り。写真の仔牛のローストにしても見た目はダイナミックながら、焼き方は緻密。伊沢シェフ曰く「カナダ産の仔牛を骨付きのまま、最初は180℃のオーブンで10分。次に120℃で20〜30分焼いた後、オーブンから出し、更に15分程休ませる」そうで、仕上がりをカットすれば、中心部は仄かなピンク色。

ともすれば淡白すぎて旨味を十分感じられないことの多い仔牛だが、これは別。シルキーにしてミルキーな旨みが優しく広がる。食べる際はトマト味のパン粉とマスタードを付けて供される。


『アメッツ』
仔豚の丸焼き

田原町

仔豚の丸焼きといっても、中華ではなくこちらはスペイン版。“コチニージョ・アサード”と呼ばれる、スペインはセゴビア地方の名物料理だ。

「セゴビアを中心に、スペインでは全国で見かけますよ。スペイン人にとっては一番のごちそう。いわば肉食文化の象徴ですよね。専門店も多いですよ」

オーブンから、仔豚を取りだしながらこう語るのは、服部公一シェフ。バスク州のサンセバスチャンではじめて、マドリードやカタルーニャ地方で5年間におよぶ修業の後、帰国。故郷の浅草に店を構えたのが2010年。

モダンスパニッシュを学びながらも、自らが心惹かれたのは伝統的な郷土料理だった。仔豚の丸焼きにしてもスタイルは極めてオーソドックスだ。

スペインから取り寄せる豚は、生後約28日。これを塩で焼くことおよそ3時間半。イベリコ豚のラードを塗って焼き上げた皮はパリパリ。煎餅のような軽快な歯触りが身上だ。対して肉はふわっと柔らかい。おすすめはバラ肉。脂とゼラチン質が一体化し、とろけるようなおいしさだ。