「2026年、奈良県の飛鳥・藤原を世界遺産に。

そのためには、近鉄吉野線 飛鳥駅と、明日香村に点在する特別史跡キトラ古墳や高松塚古墳などを結ぶ公共交通の拡充が不可欠。

今回は、奈良県をはじめ、長大、奈良交通、住友電工システムソリューション、アイサンテクノロジー、東海理化、損害保険ジャパンのみなさん、そしてなによりも、埼玉工業大学の自動運転技術に、ありがとうございます」

―――そう語るのは、奈良県 明日香村 森川裕一 村長。

森川裕一 村長のいうとおり、近鉄吉野線 飛鳥駅から、明日香村の観光地へむけて、埼玉工業大学の自動運転AIバスが走っている。

埼玉県深谷市にキャンパスを構える埼玉工業大学から、500kmも離れたここ奈良県のおだやかな山間の景色のなかを、自動運転レベル2で―――。

全国の自治体や路線バス事業者が既存車両を自動化する可能性に注目

埼玉工業大学の自動運転AIバスは、“生きた教材”としての大学研究材料でありながら、全国の路線バス事業者・各自治体などからのオファーで各地の実証実験走行を重ね、つねにアップデートしている注目のモビリティ。

既存の路線バス車両 日野レインボーIIに、後付け自動運転AIシステムを搭載し、全国各地の路線バスルートを実証実験レベル2で走り続けている。

この後付け自動運転AIシステムという独自性から、全国の路線バス事業者が既存車両を自動化できるということで注目している、埼玉工業大学の自動運転技術が、ここ奈良県明日香村の世界遺産候補地を自動で走り抜け、またアップデートし実現へ向けて一歩ちかづいた。

大学教材が自動運転テスト走行で全国各地へ

埼玉工業大学の 日野レインボーIIベース自動運転AIバスは、これまで首都高速道路直下を行きGNSS(衛星測位システム)がうまく届かなかった川崎鶴見臨港バス路線テスト走行や、新宿中央通りトンネルの下を行く京王バス運行 都庁循環(CH01系統)などを、デッドレコニング(DR/自律航法)の性能向上などで想像以上に“なめらかな自動走行”でクリアしてきた車両。

人間社会学部と工学部の2学部で文系・理系の枠を超えた多彩な学び・研究を続けている埼玉工業大学は、独自の自動運転AIシステムをいち早く“生きた教材”として採り入れ、大学の教材でありながら、全国各地の自動運転実証実験でテスト走行を重ね、いまでは全国の路線バス事業者から共同事業のオファーがくるまでに進化してきた。

長大、奈良交通、住友電工システムソリューション、アイサンテクノロジー、東海理化、損害保険ジャパン、埼玉工業大学などの技術を結集し実現

今回の奈良県明日香村では、長大(東京都中央区、代表取締役社長 野本昌弘)、奈良交通(奈良県奈良市、代表取締役社長:田中耕造)、住友電工システムソリューション(東京都文京区、代表取締役社長:鷲見公一)、アイサンテクノロジー(愛知県名古屋市中区、代表取締役社長:加藤 淳)、東海理化(愛知県丹羽郡大口町、代表取締役社長:二之夕裕美)、損害保険ジャパン(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:白川 儀一)、埼玉工業大学(埼玉県深谷市、学長:内山俊一)が連携し、「次世代のデジタル技術を活用した交通サービス」の実装をめざし、一般参加者を乗せて、近鉄飛鳥駅〜高松塚古墳〜キトラ古墳を2月8日〜18日(水曜運休)の間、自動で走ってみせた。

それぞれの役割は次のとおり。

奈良県:実証実験実施主体
明日香村:実証実験実施主体、実証実験責任者
長大:実証実験現場責任者
奈良交通:ドライバー派遣、遠隔監視者派遣
住友電工システムソリューション:信号協調システム提供および取り付け、信号協調技術支援
アイサンテクノロジー:高精度3次元地図の作成、走行調律作業の実施
東海理化:遠隔監視システムの提供
損害保険ジャパン:自動運転リスクアセスメント
埼玉工業大学:車両提供、技術者派遣、テストドライバー派遣

「まるで人が運転してるようだ」

「なんの違和感もなく、スムーズに走っていることを体感した。まるで人が運転してるようだ」と奈良県 明日香村 森川裕一 村長がいうように、本線や仮想停車場の発着などをほぼオートで走行。

今回は、キトラ古墳などへの道には勾配や1車線の細い区間もあり、大型トラックなどの対向車が接近したさいは奈良交通のドライバーの手が入りながらも、アイサンテクノロジーの高精度3次元地図や GNSS(衛星測位システム)、LiDAR(光による検知と測距)などを頼りに、ドライバーはアクセル・ブレーキペダルやハンドルも触れず、オートで走り抜ける。

「こんどは高松塚古墳やキトラ古墳の見どころや観光情報を、モニターで映して、AR動画やアテンドル(ヴァ ーチャル・アイドル)が案内できるようになればいい」

―――そんな声にも応えるべく、埼玉工業大学は、学内の自動運転技術開発センター所属研究者を倍増させ、研究・開発体制を大幅に強化する。

埼玉工業大学のエキスパートたちが加入、自動運転技術開発を強化

トヨタ プリウス、マイクロバスタイプの日野リエッセII、路線バスタイプの日野レインボーII などに、後付け自動運転AIシステムを搭載し、全国各地の路線バス事業者・自治体と走行実証実験を重ねてきた埼玉工業大学が、レベル4対応の自動運転バスの開発へ向けて研究者を増員し、大学内に拠点をおく自動運転技術開発センターを強化する。

国内の私立大学に先がけて2019年4月に学長直轄の研究部門として設立した埼玉工業大学 自動運転技術開発センターは、この1月から同センター研究者を倍増させ、研究・開発体制を大幅に強化。

自動運転レベル4への対応も視野に入れ、産学官連携で開発を推進していく。

<埼玉工業大学 自動運転技術開発センター 新体制>

渡部大志 センター長、工学部情報システム学科 教授/画像認識工学研究室
鯨井政祐 工学部情報システム学科 教授/ヒューマンインタフェース研究室
和田正義 特任客員教授
*田中克明 人間社会学部 情報社会学科 教授/知能情報システム研究室
*中村晃 工学部情報システム学科 教授/システム制御研究室
*本吉裕之 人間社会学部 情報社会学科 准教授/経営企画研究室
*望月義彦 工学部情報システム学科 講師/視覚情報処理研究室
( * 新メンバー)

埼玉工業大学のAR動画開発技術なども期待

埼玉工業大学は、観光アテンドルの開発も力を入れ、全国の各自治体で学生たちが開発したアテンドルが活躍。こうしたAR動画やヴァ ーチャル・アイドルの開発技術も、自動運転AIバスに採用し、多角的なサービス開発を手がけていく。

◆JR只見線 沿線の魅力をAR動画で発信! 埼玉工業大学 人間社会学部 情報社会学科が制作、学生がキャラをデザイン_埼工大アテンドルで全国地方自治体の観光コンテンツ支援を展開 加速
https://tetsudo-ch.com/12904408.html

―――「世界遺産へ公共交通の拡充とオーバーツーリズム対策」「運転士不足と昼夜問わない自由な公共交通の実現を」といった奈良県・明日香村の声に応えるべく、日々進化し続ける埼玉工業大学の自動運転AIバスの動きに、今後も注目だ。

◆埼工大 自動運転特設サイト
http://saikocar.sit.ac.jp/

◆埼玉工大、アイサンテクノロジーと自動運転の研究開発で連携協定を締結
https://www.sit.ac.jp/news/230406_1/

奈良県 明日香村 森川裕一 村長 と 埼玉工業大学 渡部大志 工学部情報システム学科 教授 センター長