TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。2月23日(火・祝)放送の「オピニオンCROSS neo」では、矢野経済研究所 社長の水越孝さんが電力需給のひっ迫から垣間見える、後退する日本の現状について述べました。

◆年末年始に電力がひっ迫…その原因は?

東京ではあまり話題になりませんでしたが、昨年末から年始にかけて全国的に電力がひっ迫。特に1月7日〜8日にかけて東京電力と中部電力管内を除く地域で深刻化し、1月6日には電力広域的運営推進機関が非常災害対応本部を設置したほど。全発電所のフル稼働や地域間の連携を最大容量に上げるなどの対策をとっていました。

ひっ迫した理由は、コロナが関係しており、感染拡大とともに経済活動が低迷し、火力発電の燃料となるLNGの価格が暴落。その後、世界に先駆け経済回復した中国がLNGを爆買いし価格が急騰。さらに年末には数年に一度の寒波が日本を襲い、電力需要が一気に増大し、LNGの不足も重なり電力はひっ迫しました。

こうなると「再生可能エネルギーへの過度な依存は危険」、「脱炭素社会とエネルギーの安定供給は両立しない」といった意見や原子力発電所の問題が持ち上がりますが、水越さんは「今回の問題の本質は、発電設備や発電能力の問題ではない」と明言します。

◆解決すべき、問題の本質とは?

今回の原因は「単に燃料調達の失敗」と水越さん。その背景には、かつては東京電力など大手電力会社が生産と小売を独占し、日本全体の電力需要が把握できていました。ところが、電力の自由化により調達ルートや販売チャネルが多様化し、結果的に需要予測と実数にギャップが生まれ、燃料調達のタイミングが遅れたことが、今回の電力ひっ迫を引き起こしたと分析。

水越さんは「発電の問題ではなく燃料調達の失敗、この論点を擦り変えてはいけない」と注意を促します。そして、今後も脱炭素や地産地消を目指すのであれば「電力需要の予測精度を上げること」と「多様化している市場に対応した仕組みを作ること」の2点を指摘。

総じて、「構造変化に後戻りはない」、「現状維持は後退と同義」、「未来を先送りせず、未来から逆算し、今に向き合う」の3点を主張。「問題の論点をすり替えるのではなく、本質にフォーカスし、未来の社会を構想し、そこから手前に引き戻し、我々が構築すべき社会のありよう、仕組みを考えていくべき」と訴えます。

MCの堀潤からは広域対応となる場合、誰が舵を取るべきか質問が。水越さんは「すでに電力広域的運営推進機関がある」と返答しつつも、そこにはまだ権限がないため「全国の需要を客観的に抑える中立的な機関を設けた上で、電力の卸売市場をきちんと作ればいい」と提言。

また、もう1つの問題として「東京電力と中部電力がひっ迫しなかったこと」を挙げ、全国の発電設備の半分をこの2つが占めているだけに「全体では(電力も発電能力も)足りていた。ただ、時間、場所、局地的に不足するので、それを防ぐための仕組みを作ればいい。そんなに難しいことではないが、既得権にこだわるとできない」と力説します。

そして、分散した場合、地域連携でいかにネットワークするかも重要で「それはIOT(モノのインターネット)やスマートシティの得意とすること、日本が得意なところ」と水越さん。とはいえスマートシティ構想も立ち遅れており、「全体のビジョンを共有し、時代は進んでいるので今の利益だけに向いていたらいけない」と危惧。「後退しているのが現状。周回遅れを取り返すために何ができるのか本気で考えないと勝てない」と警鐘を鳴らしていました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross