TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「モニフラZ議会」では、削減傾向にある“通知表”についてZ世代の論客が議論しました。

◆一部の小中学校で通知表の配布回数&所見欄が削減

学期末に配られる通知表ですが、最近では、学期ごとの配布をやめたり、先生からのコメントが減ったりと、各地で通知表の削減が広がっています。

例えば、熊本市立の小学校では、配布回数を年に3回から2回に。京都・亀岡市や京丹波町の小学校、北九州市立の中学校などでは、先生からのコメントなどがある所見欄が削減。こうした背景には、教員の働き方改革があり、所見欄をなくすことで1学期につき、先生1人あたり約10時間の業務時間減につながるとされています。

子どもの頃、通知表で一番楽しみだったのが「所見欄だった」と話すのは、キャスターの堀潤。その理由は、先生が自分をどう見ているのか、先生が自分のことを見てくれていることがわかるから。

所見欄を削減する学校があることに、堀が「意外だった」と驚く一方で、株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「僕は通知表いらない派」と明言。

古井さんとしては、通知表の内申点が入試に関わることに違和感があるようで「結局、オール5を取ったとしても大して評価されない」と話します。さらには、内申点があるがゆえの弊害も。「そういった主観的な評価が自主性にブレーキをかけてきたのを見てきたので、そんなものはいらないと思う」と自身の見解を示します。

株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは、「先生が生徒の評価をつけるのは大事。内申点も大切だと思う」と古井さんの意見と真っ向対立。なぜかといえば、例えば、試験一発勝負で自分の能力が発揮できなかったときのため。試験を何回かに分けて行うなど「一発勝負ではない仕組みで生徒の評価をつけたほうが公平なのでは」と主張します。

さらに、小幡さんからは「先生がやるべき仕事は子どものやる気UP!」との提言が。通知表を定期的につけることで子どものモチベーションが上がるならばやったほうがいいし、逆に通知表を気にしすぎて子どもが萎縮したり、通知表があることで先生の負担が増えたり、子どもと向き合う時間が減ってしまうのであればやるべきではないとし、「通知表がどういう役割を担っているのか、もう一度整理が必要」と訴えます。

Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、「通知表が受験のためのものになりすぎている気がする」と率直な印象を述べます。

その上で「(先生に)自分がどう思ってもらっているとか、学校でどういった役割を果たしているかなどは自己肯定感につながると思う。保護者も、自分の子どもが学校でどのようにしているのかわかるのは通知表ぐらいしかないので、所見欄がなくなってしまうと、(子どもの学校生活ぶりが)わからなくなってしまう」と通知表のメリットを語ります。

そして、「もっと違うところで教員の仕事の削減ができるのではないか。ここ(通知表)を削減するべきなのか」との指摘も。

そうした黒部さんの意見に、小幡さんも賛同。自身が手掛けるゲームを通じた学習サービスでは、レッスンごとに毎回両親にその日の子どもの様子を送っていると言い、「常に親御さんに子どもがどういう状況か教えることが大事」と声を大にします。

◆そもそも通知表の存在意義とは…通知表の現状

教育社会学者である名古屋大学の内田教授によると、「通知表はそもそも保護者へのお知らせ」であり、最近ではネガティブなことでも保護者とトラブルにならないよう表現しているとのこと。また、教員向けの文例集などもあり、「否定的な表現は避けるように」と記されているといい、所見欄が“形骸化”しているという指摘が。

そうした現状から、内田教授は「数字以外の評価は直接伝えるのはどうか」、「保護者との面談などを活用し、子どもたちに日常の中で伝えるのはどうか」と提案しています。

通知表に関して、街頭の意見を聞いてみると「自分がどういう成績を残したのか、ある程度目に見えたほうがいいと思う。やはり褒めてもらったり、先生がちゃんと見てくれているのは嬉しかった」(20歳 学生)、「他人と比べてみることで、自分のいいところが見えてくると思うので、そういう指標になる」(21歳 学生)、「先生たちからはこう見えていたのかと思った」(22歳 会社員)、「点数で人間ははかれないと思うので、ないほうがいい」(20歳 学生)など、さまざまな意見がありました。

小幡さんは「点数で人がはかれない」という意見に着目。「点数で出さないと仕方がないものもあると思う」と自身の見解を提示しつつも、コミュニケーション能力など数値化できないものもあるため、「主観的なものではなく、例えば、生徒全員で評価するなど、そういったほうが公平なのかなと思う」と話します。

また、古井さんは「定量的な評価がまずあり、その上で定性的な評価があり、そこにはいろいろなやり方がある」と述べ、自身の会社で取り入れているという「グッド・バッド・ネクスト」を紹介。

古井さんの会社では、社員全員の“良かったところ(Good)”、“悪かったところ(Bad)”、“次はこうしたらいいところ(Next)”という事項を定期的に書き合っており、「全部見えてしまうが、そうすると良い感じで(社内が)締まり、認めてもらえていることもわかる」と取り組みによるメリットを挙げ、「定性的な評価を丁寧にやっていくのが良いんじゃないか」と提案します。これに堀が「みんなバッド(な意見)に耐えられるのか」と案じていましたが、「そこはちゃんと表現を考えて書いている。暴言を吐くような場ではない」と古井さん。

◆すでに通知表を廃止した学校も…その理由とは?

神奈川県の茅ヶ崎市立香川小学校では、2020年度から通知表を廃止。その理由は、子どもたち同士に見えない序列があったり、先生からの評価を伝えきれないからで、代わりに保護者との面談を充実させています。ただ、評価を求める親子もいる一方で、親子の会話が増えたという意見もあったということです。

この事例に関し、内田教授は「これは小学校の場合なので、通知表をなくしても良いが、中学校の場合は、高校入試を控えているため、生徒の成績や序列を伝えることは必要」としています。但し、所見欄の削減や配布回数の削減はできるのではないかと話しています。

黒部さんは、内田教授の提言に「(入試に関しては)中学受験をする子もいる」と指摘し、「結局、今の教育、受験のシステムが変わらないと、これを変えていくのは難しいんだろうなと思った」と所感を述べます。

総じて、Z議会を代表し古井さんが提言を発表。それは「客観的評価を複数回のチャンスで」と「定性的評価は丁寧に伝える」。

小幡さんは、「先生が忙しすぎる問題に集約される気がする。通知表も本当は出したほうがいいと思いつつ、先生の労働環境が忙しすぎると思うので、まずはそこを変えていきたいと改めて思った」と話し、教員の労働環境改善の必要性に触れていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag