TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。9月16日(金)放送の「モニフラZ議会」では、“園児バス置き去りの防止策”について、東京都多摩市にある諏訪幼稚園 園長の西妙子さんとZ世代の論客が議論しました。

◆通園バス置き去り死に政府、そして自治体も反応

9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で通園バスに置き去りにされた河本千奈ちゃん(3歳)が亡くなりました。この一件に際し、子どもたちの安全を守る立場である西さんは「心が痛いですし、憤りも感じております。保護者の方も不安を強く持っているのではないか」と率直な思いを語ります。

この事件を受け、政府は10月中に緊急対策を取りまとめるとしています。また、置き去り防止措置の義務化を求める声もあがっていて、小倉こども政策担当大臣は「全国整備へ財政措置を検討する」としています。

具体的な対策として、例えば、埼玉県狭山市の幼稚園では園児に閉じ込められたときのクラクションの鳴らし方を教える訓練を実施。また、人が置き去りになったときに検知するセンサー「LiDAS」には問い合わせが殺到しており、今後発売が開始する見込みです。

キャスターの堀潤のもとには、オクト産業株式会社から事件後1週間で置き去り防止のためのセンサーを開発したと連絡があったことを紹介。

microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「痛ましい事件」と悼みつつ、「現場の方々はわざとやっているということは絶対にないと思うが、こうした事件が起きてしまうことに対し、センサーの導入や人に頼らない仕組み作りをしていくことが重要」と意見し、事件後早急に動いた業者を評価します。

◆バス置き去りを防げ…幼稚園での徹底した対策

痛ましい事件を防ぐべく、西さんの諏訪幼稚園ではさまざまな策を実施中。まず、保護者には毎朝7時20分までに園児の欠席や遅刻、園バスへの乗車の有無をアプリで申請するよう依頼し、その結果をまとめたものをコースごとにチェック。園バスの運転手などとその日の乗車人数を確認した上で園を出発し、もしも指定のバス停に園児がいない場合は発車時刻までは待つものの、それでも来なければ園に電話連絡し、出発する旨を報告するなど確認を徹底しています。

そして、全員が乗車したところで一人ひとりの名前を呼びながら人数確認を行い、園に到着後は一番後ろに乗っている年長さんに忘れ物チェックをお願いし、子どもたちが確認して降車。最後に添乗の先生と運転手が確認するというトリプルチェックを実施。さらに年長さんが必ず年少の子とペアとなり、手を繋いでクラスまで送り届けています。

今回の事件を受けて、諏訪幼稚園では“車内点検済みカード”なる新たな置き去り防止策を導入。このカードを走行中はバスの一番後方にかけておき、運転手が最後に施錠する際に後方からカードを持ってきてフロントガラスに掲げることで確認を可視化しています。

堀は、小倉こども政策担当大臣の速やかな対応を評価する一方で「憤りもある」と吐露。それは子どもへの投資で、「そもそも子どもの分野に関し、国の財政措置は十分だったのか。子どもの命を守る最前線の現場は人材不足や低賃金など、いろいろな課題を抱えている。現場の人たちがもっと安心して働けるような環境作りを国がきちんとやれていたのか」と指摘します。

また、株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんからは「聞いているとかなり管理が徹底されている印象だが、園ごとにマニュアルがあるのか。それとも全国的な基準などがあるのか?」との質問が。

西さんによると、現在は全国的な基準のようなものはなく、基本的に各園がそれぞれ対策を講じていると回答。事件後、国からはマニュアルの有無などさまざまな調査があったとし、「9月中には取りまとめるのではないかという印象」と所感を述べます。

◆デジタルだけでなく、重要なのは“人との共存”

園児のバス置き去りは全国で起きており、2021年7月には福岡県の中間市で当時5歳の男の子が送迎バスに取り残され死亡。

置き去りの実態調査を見ると、この1年間でも幼稚園・保育園の送迎担当267人のうち15人が「園児を残したまま車を離れたことがある」と回答。さらに、うち3人は「置き去りに気づかなかった」という声も。また、置き去りの理由に関しては「意識の低さ」、「人手不足」、「ルールの形骸化」が挙げられていました。

Health for all.jp代表の茶山美鈴さんは、日本で課題となっている待機児童問題が近年少しずつ解消されつつあるとし、その理由として「質より量のところで政策が整えられてきたのでは」と指摘。そして「いかに保育園に入れる数、保育園の数を増やすかを重視し(待機児童問題が)解決されてきているが、次は質に注目しなければいけない」と指摘します。

人手不足が深刻化し、忙しさが増すと意識が低下していなくとも人為的なミスが起こり得るとあって「チェックなどで防げるようなことは、できるだけデジタルを組み合わせるなど、いかに人手を使わずに解決していくかを政策として整えていくべき」との主張も。

これに西さんも「デジタル化は確かに必要なところ。安全策のツールとして使える」と賛同する一方で、「(子どもにとって)人と人との関わりの、最初の社会生活になるので、そこは質の向上というところでいきたい」と思いを込めました。

海外ではどうなのか。韓国でも同じような事件があり、2018年に法を改正。幼稚園バスなどに「置き去り防止装置」を義務化しています。さらに2021年には「窓ガラスの透明度検査」を義務化。違反をすると反則金が科せられます。

また、アメリカではセンサー付きのバスなどが仕組み化されているということです。西さんの園では8台のバスを所有しており、全ての車両にセンサーを導入するには多額のお金がかかるため、「ある程度、行政などから補助が出ると助かるのが正直なところ」という現場としての意見もありました。

Z議会を代表し、渋谷さんが“園児バス置き去りの防止策”についての提言を発表。それは“人と技術が共存した仕組み作りを、お金は国が(サポート)”。

渋谷さんは「技術だけで100%解決するわけではない。例えば、センサーも電池交換など(人の手)が必要で、それを忘れていた際に『センサーがあるから大丈夫だと思っていた』という事件も起こりかねない」と危惧。技術は人間の足りない部分などをあくまでサポート・補完するものなので、デジタルと人との“共存”を切望します。

財政面では「国の役割は100人に100人届けるサービスを作ることではなく、手の届かないところにも20人でも人がいれば、行政は出動するべき」と国の支援を願いつつ、「国がサポートしながら人の命が守られる未来が作られれば」と期待します。

西さんも「子どもも保護者も安心して“行ってきます”と出かけられる仕組み作り、ハード面、ソフト面からも支えていくという環境作りが大事」と訴えていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag