TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。10月1日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の山岸久朗さんが“コロナと労働問題”について述べました。

◆今年に入って既に累計6万人が解雇

新型コロナウイルスによる業績悪化を理由に、採用を事実上取り消したのは不当だとして、30代の男性が会社側に対し、雇用契約の確認と賃金支払いを求めて裁判所に労働審判を申し立てました。男性は4月1日から働く予定でしたが、3月に会社側が「コロナで任せられる仕事がない」と入社延期を通告。その後、一度も働かずに4月30日で雇い止めとなってしまいました。

9月23日付の厚生労働省の発表によると、今年に入って既に累計6万人が解雇。その全てがコロナの影響とは言えないものの、山岸さんは「コロナの影響が相当大きい」と言います。事実、山岸さんのもとには労働問題の相談が非常に増えていると現状を報告。

今回取り上げたニュースからはいろいろな論点が垣間見えるそうで、山岸さんは「内定の取り消しなのか、雇い止め、いわゆる契約更新の拒絶なのか、それとも試用期間の解除なのか、はっきりとはわからないが、結果的に基準としては同じになる」と言い、「今回は『内定の取り消し』として論じたい」と説明。

まず、基本的に労働契約を途中で破棄したり、期間を更新しないというのは契約の自由ではあるものの、「問題の所在としてあるのは労働法。労働基準法を中心とした法律がある」と山岸さん。例えば、内定を取り消すにも労働者を守らねばならず、その決定が社会的に相当の範囲で、かつ合理的なものでなければ無効にするという法律があります。

◆コロナショックはまさにこれから!?

法律には「職業安定法施行規則」というものがあります。バブルが弾けたときに内定取り消しが一斉に起こったことを受け、改正されており「内定を取り消してはいけない」、「取り消すにも最大限の努力を」、「補償」の3つが通達されています。

これを聞いたMCの堀潤は、「経営者目線で言うと、背に腹は変えられないから内定取り消しのお願いをする。『補償と言われても……』という声が聞こえてきそう」と案じます。これに山岸さんも「必ずしも労働者側の立場だけに立って考えていい問題でもない。使用者側の意見も聞かないといけない」と指摘し、過去の判例をもとに内定取り消しが合法になり得る4つの目安を紹介します。

それは、内定者側の事情となる「内定者の卒業の延期」、「内定者の病気等による就労開始日の就労不能」、「内定者の労働力の質の評価に決定的な影響を与えるような事情の発生または発覚」の3つと、企業側の事情である「企業に新規採用を不可能とするような予測不能な経済事情の変化の発生」で、今回の事案はこれに該当。

そのため、「“予測不能な経済事情の変化の発生”に当たり得ると判断されれば、今回の内定の取り消しは、“合法”となり得る」と山岸さん。すると、キャスターの宮瀬茉祐子は「程度の問題はどうなんだろう」と疑問視し、堀は今後の見通しが立てづらいことによる影響を危惧。

コロナの影響で、観光業、飲食業を中心に社会は壊滅的な打撃を受け、各企業じわじわと体力を奪われていますが、山岸さんは「特に9月あたりから破産・倒産の相談が増えている」と現状を吐露。どこも生き残りをかけて必死なだけに、判断はとても難しいところですが、「弁護士的に言えば、『職業安定法施行規則』の基準があるので、予測不能な経済事情の変化の発生と言えども、ここは厳格に見るべきだと思う」と見解を示します。

そして、最後に「こういった事例は今後絶対に増える」と断言。なぜなら、「給付金によって生き長らえている企業が結構あるが、それももうそろそろ切れる」と先行きを案じていました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross