TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。4月25日(月)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、“悪い円安”について深掘りしました。

◆円安による物価上昇、怖いのはこれから!?

4月15日、鈴木財務大臣は会見で、円安ドル高で物価の高騰に賃金の伸びが追いつかない状況をふまえ「“悪い円安”と言えるのではないか」と発言。20日の円相場は1ドル=129円43銭。20年ぶりの円安ドル高水準となっています。

なお、20年前の円安の理由は、デフレ後の日本経済の停滞や財政赤字の拡大で、日本の国債の信用が低下したことでした。

こうした状況にNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「同じことを繰り返してはいけない」、「円安は必ずしも全て悪いわけではない」と言いつつ、「今回はウクライナの情勢もあって物価が上がり、そこに円安が合わさり非常に厳しい」と現状を示唆。

さらには、「円安は日本企業にとっては本来メリットになるはずだが、原材料も高騰しているので厳しい。どうにか打開していかなければ」と危惧します。

飲食を生業とする食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、飲食店への影響として「1円でも(値上がりは)すごく大きい」と率直な思いを吐露。

小麦や穀物の価格上昇に加え、ここにきて調味料や加工品なども上がっているため、「食品を扱う中小企業、小さな(飲食)店舗でも悩ましい状態。これからがさらに怖いですよね」と懸念します。

◆日米の金利差の違いから円安、そして物価高騰

今回の円安は、日米の金利差の違いが大きな要因とされています。アメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制のために金融引き締めを加速する一方、日本では景気の下支えのために超低金利を続行。それにより、高金利のドルを買い、低金利の円を売る動きが出ています。

そして、この円安の影響は大きく、まずは輸入コストが上がることで関連商品が値上がりします。ガソリンや電気などエネルギー資源は、3月は平均で20.8%増。食品は6,167品目が値上げとなり、平均11%増。その他にも海外旅行やブランド品なども値上げとなっています。

長内さんによると、食品が値上がりしているなかで、最も上昇しているのがハムやソーセージ、カップラーメンなどの「加工品」で、2番目が調味料。さらにはアルコール類も。

家庭はもちろん、飲食店にとっても大打撃で、商品の値上げをしないとなると、その分他でコストを削減する必要があると心配する長内さん。そして、「低所得者層の賃金が上がらないなかで悪い円安になっていると思うが、どうしたらいいのか……」と頭を悩ませます。

大空さんが運営する相談窓口には1日1,200〜1,300人もの人が訪れるそうですが、ここ2週間で経済不安に関する相談が増えているとか。その背景には物価の高騰もありますが、とりわけ電気料金が大きいという声が多いと言います。

そして、大空さんは今後の筋道としてパネルに「It’s Time for Japan」と書いて主張。

これは現在、ニューヨーク市が行っている観光施策のひとつで「It's Time For New York City」と銘打たれた広告を各地に展開中。「ニューヨークに来てください」と大々的にアピールしているのですが、「結局、今は“国を開ける”か“円安を止めるか”しかないが、今(日本は)どちらもやっていない。それが一番の問題」と憤る大空さん。

◆今やるべきはコロナ対策、2.5兆円の経済対策より効果的!?

円安に対し、政府はすでに対策を表明。まずは物価高騰への緊急対策として、ガソリンなどの燃油価格の補助金を1リットルあたり25円から35円に引き上げ。そして、低所得世帯の子どもは1人あたり5万円、今年度新たに非課税世帯になる世帯には10万円を給付。さらに、外国産の小麦や木材を国産に切り替えることへの支援など、総額2兆5,000億円を超える対策を予定しています。

一方、労働賃金に関して、まずは平均の年間賃金を見ると、日本は2000年と2020年比で0.4%増。現在の平均額は約440万円。韓国やアメリカに比べると伸び率は少なく、主要国では日本だけ賃金の上昇が少ない状況です。そのため、政府はまず看護師や介護士・保育士などの賃上げをし、給与を増額した企業に対し法人税の控除などを行います。

臨床心理士のみたらし加奈さんは、一連の政府の対応に対し「やはり対処療法的」と言いつつ、特に憂慮していたのは「自殺」。

自殺の理由の2番目に挙げられているのが「経済・生活問題」で、賃金や就労の問題にしろ物価高騰にしろ、それらが直接的に自殺や孤独の問題に繋がるのは明白と言い、「私は現場でやっていくことしかできないが、自分なりに相談を聞きながら臨床心理士として何ができるのか。ひいては国にどうしてもらいたいのか。私たち心理職も考えていかなければいけないフェイズだなと感じている」と実感を語ります。

大空さん曰く、今回の物価高騰対策は4本柱で、原油高対策と食料・エネルギーの安定供給、中小企業の資金繰りに加え、もうひとつは「孤独・孤立対策」で、「それが今回の緊急経済対策に入ったことは、すごく前向きに評価しなくてはいけない部分」と高く評価。また、困窮世帯の子どもたちへの5万円給付もNPO界隈から歓迎の声が多いそう。

ただ、「いずれも対処療法的であることは間違いない」と惜しみ、今やらなければならないこととして「コロナ対策」を挙げます。「コロナで経済を再開させること。止まっていた業界にしっかりと補助を出していくことが本来メインストリーム」、さらには「今回、2兆円規模の経済対策を行うが、経済を全面的に再開したほうがインパクトは間違いなく大きい。そこを見誤ってはいけない」とその理由を明かしていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag