TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」。3月4日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」では、株式会社キャスター取締役COOの石倉秀明さんが新しい雇用の形“在籍型出向”について述べました。

◆ポストコロナでの新しい雇用の形

雇用を維持したまま業績が悪化した企業から、別の企業に従業員を出向させる「在籍型出向」を広げようと、厚生労働省は1日1万2,000円を上限に賃金などを助成する新たな制度を設けました。在籍型出向は雇用契約を維持したまま従業員を別の企業に出向させるもので、新型コロナウイルスの影響が長期化するなかで雇用を守る取り組みとして広がっています。

“出向”というと、一般的には親会社から子会社への異動やグループ会社への異動と思われがちですが、石倉さんは「制度的には全く関係ない会社同士でも契約すればできる制度」と解説。人材・労働者派遣と混同されることもあるようですが、人材・労働者派遣は雇用契約が出向元のみ。一方で、在籍型出向は出向元と出向先、双方の会社と雇用契約を結ぶという大きな違いがあります。

また、出向の際には出向元と出向先で雇用条件や仕事内容が変わることが多々あります。その場合、双方の会社とともに従業員の同意が必要で、それらが全てクリアすれば業界や企業規模の枠を超えて出向できます。

厚生労働省は、そんな出向をより拡大させるべく助成金制度を導入。今はコロナ禍とあって雇用維持を目的に従業員1人当たり10万円を出向元と出向先の双方の企業に支給。さらに、業種が異なる場合には1人当たりさらに5万円がプラスされます。また、1月1日からの出向に対しては、賃金に関し出向元と出向先の双方の企業に合わせて1日最大1万2,000円を支給しています。しかも、1年間に出向の助成が受けられるのは最大500人と大規模に展開しており、石倉さんは「かなり手厚い制度になっている」と評価します。

◆企業と従業員、双方に大きなメリットが!

すでに在籍型出向に取り組んでいる企業は多く、例えば石油などのプラントのメンテナンスを手掛ける大分県の建設業・柳井工業では、他企業からの出向の受け入れをスタート。コロナ禍で製造業は失職する人もいるなど苦しい現状の一方で、建設業は人手が足りない状況が相変わらず続いています。そんななか、製造業にいた人たちのなかにはプラントを作るスキルを持った人材もおり、彼らは少し教えればメンテナンスもすぐに対応可能なため、即戦力となるケースも。

現在、柳井工業では、こうした製造業からの出向を受け入れる制度を「ES(エキスパート・シェア)」と呼び、採用を開始。石倉さんは、「業種を超えて労働力を確保したり、スキルを活かしたり、人材をうまく使う事例が出てきている」と称えます。加えて、在籍型出向であれば出向元の契約も残っているため、最終的に出向元と出向先のどちらで働くか選ぶことができるという大きなメリットも。

総じて在籍型出向は企業にとって、従業員に新しいスキルを身につけてもらうことができたり、他社の異なる仕事の仕方が学べたり、さらには転職の引き留め手段になるなどのメリットがあると石倉さん。また、従業員側にも出向元と出向先を天秤にかけて転職を考えることができるなど「実は有効に使うと、双方にとってかなりメリットがある」と声を大にします。

また、出向元と出向先の負担も随時契約変更できるなどの柔軟性がありながらも、まだまだ世間での認知度が低いだけに、「これを機にぜひ知っていただいて、社内の制度として導入する会社が増えてくるといいなと思う」と今後のさらなる広がりに期待していました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00(※番組終了)レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross