TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「フラトピ!」のコーナーでは、“日本の原発政策”について深掘りしました。

◆政府が方針転換…原発再稼働&新たな原発建設へ

政府は8月24日、GX実行会議で将来的な電力の安定供給に向け“次世代型原発”の建設を検討するとしました。これは福島第一原発事故以降、原発の新設・建て替えをしないという方針を転換することになります。

この件について、岸田首相は「エネルギー危機克服と脱炭素を両立しないといけない」としています。

株式会社Unicode CEOの赤城命帥さんは、原発に関して「日本はもともと原発エネルギーに頼っていた国で、それがないと電力を賄えないので、現時点では今ある原発を再稼働させないといけないかなとは思う」と自身の見解を示します。一方で、「風力発電や新エネルギーの分野に移行することが必要」と述べるも「そのためには10年〜20年かかってしまうので、現状ではやはり再稼働が現実的なのでは」と補足します。

日本の原発の状況は、現在33基中、西日本を中心に10基再稼働しており、9月には美浜原発3号機が営業運転を再開する予定です。

そんななか、岸田首相は7月、冬に向け再稼働した10基に加え、最大9基を稼働させるとしています。審査に合格済みの7基の早期稼働をその後に表明していますが、このうち3基はテロ対策不備や避難計画の策定難航などで厳しい状況になっています。

政府の方針転換により、新たな原発も開発しており、次世代型原発「革新軽水炉」は現行の原子炉をベースに安全性を高め、既存の部品供給網の利用も可能で運転開始は2030年代半ばになると見られています。そして、原発の運転期間についても検討され、現在は原則40年+1回のみ延長20年の最長60年とされてきましたが、停止期間を参入せず延長を複数回可能にし、実質的な延長をする方向だということです。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、「原発の問題は原子力発電と再生可能エネルギーの二項対立で語られることがよくあるが、それぞれ独立論として議論すべきだというのが僕の考え方」と持論を展開。再生可能エネルギーの比率を増やすべく、そこに投資するべきとしつつ、「やはり電力が逼迫してくるなかで(原発を)再稼働していくという選択肢は十分にあると思う」と話します。

また、報道機関の原発再稼働に関する世論調査では賛成が反対を上回り、若い世代ほど賛成率が高かったと大空さん。その理由について、「かつては原子力発電があり、豊かさを享受できる時代があったと思うが、今は豊かさを自分で獲得していかないといけない時代になってきている。そうなるとDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるにしてもエネルギー・電力が必要であり、豊かさを獲得するためには安定的な電力供給基盤が必要という考え方の人が多いと思わざるを得ない環境になっていると思う」と推察。

さらに、大空さんは「安全と安心は違う。科学的根拠に基づいた安全を担保していくために原子炉や核融合発電、イギリスの高温ガス炉の開発事業にJAEA(日本原子力研究開発機構)が入ったが、諸外国と連携してなるべく安全なものを作っていくことを目指すべき」と主張します。

◆原発は国有化すべき!? 安全安心なエネルギー政策とは?

一方、忘れてはいけないのが東日本大震災による福島原発事故。福島第一原発の現状を見ると、8月30日に福島県双葉町の特定復興再生拠点区域の避難指示が11年5ヵ月ぶりに解除。これで居住人口ゼロの被災自治体は解消したことになります。しかし、廃炉完了までの道は遠のいている現状も。

8月25日には福島第一原発2号機のデブリ取り出しの年内作業開始を断念。当初の計画より2年以上遅れ、2041年〜2051年までに廃炉の予定となっています。そして、今後の課題としては、安全性の追求や最終処分・廃炉までのシステム確立、人材・技術の向上などが挙がっています。

原発は現状、民間企業が運営し、経済産業省が管理・監督していますが、民間企業だけに委ねていいのかという議論もあります。東日本大震災による福島原発事故に関する訴訟は長期化し、最終的に最高裁でも責任は電力会社、国には責任がないと確定しましたが、キャスターの堀潤は「今の体制でいいのかと、僕は問題提起したい」と力を込めます。

原発の国有化に関しては、アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんも「フランスでは原子力発電を基本的に政府がやりくりしており、日本も(それに習って)続いていくといいのではないか」と賛同。

福島第一原発の現状や核廃棄物の問題を鑑みると、「僕は日本に原発は合っていないと思う。地震も多すぎるし、日本の民主主義でゴミをどうするのかは決められない」とし、日本における原発の新設は「難しい」と言及。しかし「目下、この電気代の高騰や地球温暖化のことなどを考えると(再稼働は)やむを得ないかな」と思いを語ります。

日本の電源構成比を見てみると、2019年の段階で火力が76%で、原発は6%。政府は、2030年には原発を20〜22%に増やす目標案を掲げています。

速やかに且つ円滑に多くの人が納得する形で、安心・安全を担保しながら必要量を確保するような「エネルギー政策とは何か?」と堀から問われ、大空さんは「安心と安全を切り分けて考えないといけない」と訴えます。そして、「科学的根拠に基づいた安全性と心情による安心は別物で、それらを両立しようとするとおそらくどっちつかずの議論になる」との指摘も。

大空さんの意見に、堀も大きく頷き、「最新技術の安全性の高さは各現場を取材し、本当に実感した」と述べます。一方で、運営側の組織機構が安心かといえば不透明な部分も多いと案じ、「そこはしっかりと政治に解決してほしい。個人的には決定だけ国民に求めないでほしいと思う」と望んでいました。

安心を担保するために新たなコストがかかり、それが安全を脅かす存在になり得ることもあるとし、「我々は科学的根拠に基づいた安全を徹底的に追求していく。そのためには新しい技術をどんどん開発していくことが大事。送電網のような最低限必要なものは国がしっかりやり、あとはベンチャーも含めて新しい技術を取り入れ安全を目指していかないといけない」と提言します。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag