TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「フラトピ!」のコーナーでは、新時代のエネルギー“核融合発電”の研究現場をキャスターの堀潤が取材しました。

◆世界で唯一にして最大の核融合発電実験装置JT-60SA

新たなエネルギーと目される「核融合発電」。以前、番組ではその専門家である栗原研一さんをお招きし、スタジオで議論しました。

今回は堀が核融合発電の最前線、栗原さんが統括する茨城県の量子科学技術研究開発機構「那珂研究所」へ。

現在、核融合発電は世界中で研究が行われており、その国際合同研究プロジェクトが「ITER」。1985年に設立した那珂研究所は、そのITERの国内機関として発電装置の建設・研究を行なっています。

栗原さんの案内のもと、核融合発電の実験装置に向かう堀。しかし、装置のある場所は管理区域のため、入る前には実験着を羽織り、シューズやヘルメットの装着が必須。準備を整え、いざ核融合実験装置「JT-60SA」を前にした堀は「巨大ですね……」と思わず息を吞みます。

高さ7.5メートルからなるその装置は発電所のいわば心臓部で、核融合反応を起こす役目を担っています。日欧共同プロジェクトである「JT-60SA」の装置は日本にしかなく、その規模は世界最大。

そもそも「核融合発電」とは、既存の原子力発電とは異なる仕組みを利用し、原発以上の電力を生み出すことができる画期的な発電方法です。

原発は、ウランに中性子をぶつけ、原子核が分裂する核分裂反応を引き起こし、そのエネルギーを熱に変換して発電します。

一方、核融合発電は、その名の通り核融合反応を利用して発電します。

その発電では「重水素」や「三重水素」が利用されますが、前者は取水する海水中に約60億年分あり、後者は核反応後に再利用できるので、その燃料はほぼ無尽蔵にあると言えると話す栗原さん。

その上、核融合発電の発電量は原発の約5倍で、さらには資源1グラムで火力発電の石油8トン分に相当します。

「ITER」は世界の7極が集まり共同で進行していますが、参画する国々のイデオロギーは完全にバラバラ。現在、世界の分断が問題視されていますが「核融合エネルギーの実現に、みんな一致団結して向かっている」と栗原さん。さらには「さまざまな考え方があると思うが人類にとってエネルギーは必要不可欠。ひとつの目的に向かって全世界が一致するプロジェクトはそう多くない。核融合はそういう意味で非常に大きなプロジェクト」とエネルギー問題に加え、世界協調の面においても重要であることを説きます。

JT-60SAを後にした堀は、その後も各所見学し、最後に訪れたのは中央制御室。そこで装置内部に設置したカメラで、実験中のプラズマの様子を視聴。那珂研究所でしか聴くことができない、その希望溢れる“ミライの音”に堀は感動していました。

◆我々は核融合発電といかに付き合っていくべきなのか

核融合発電も“核”を扱う以上、その安全性が懸念されます。いかにそれを担保するのかについて、栗原さんは「核融合の制御は基本的にアクセル制御。一方で核分裂・原子力は主にブレーキ制御。制御の部分で違いがあり、出てくる放射線・ガンマ線に注意しなければならないが、これは5年で半分、100年で100万分の1になり、ほぼ一般物に戻るので、いったん放射性物質はできるがその減衰は極めて早い」と解説します。

そして気になる今後に関しては、JT-60SAは今秋にも試験運転を開始する予定で、フランスで行われているITER計画は2035年に実験開始。それを確認した後、原型炉と言われる発電用核融合炉を作り、2050年末までに核融合発電の実証という流れで、栗原さんは「我々はできるだけ早く到達したいと考えている」と意欲を見せます。ただ、そこには建設コスト削減や小型化といった課題も。

最後に栗原さんは、核融合発電の研究、さらにはその現場をより多くの方に知ってほしいと切望。現在、那珂研究所では見学会を行っており、核融合発電に関して安全性もリスクも理解した上で受け入れてほしいと話していました。

取材を終えた堀は「圧倒的でしたね」と感嘆。今後稼働する装置をいち早く見ることができたことを喜ぶ一方で「原発のときも成果物としての電力だけ享受してきた。無責任だったんじゃないかという思いもある」と率直な思いを吐露。

将来的なエネルギーになり得る核融合発電の研究は、リアルタイムで進行しているなか「(我々も)一緒になって、こうやって電力を作っていくんだ、エネルギーを生み出していくんだということを、私事として見ていく必要がある」と語り、今後も議論していきたいと望みます。

◆20代のコメンテーターが語る「核融合発電」への期待と不安

生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんは、原発事故の印象が大きいこともあって「まだ100%納得して安全とは言えない」と不安を口にしながら、「研究が進むことで、より安全で使いやすいものが出てくると思うので、みんなで応援していきたい」と期待を寄せます。

「東京新聞」経済部記者の大島晃平さんは、核融合発電という名前に物々しさ感じ、「原発事故を経験しているからこそ、冷静に見なければならない」と話します。また、放射性物質の流出をいかに理解してもらえるかがポイントと指摘し、一般に普及するのはまだ先とあって「少しずつ考えていければ」とも。

一方、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、人間にとって100%最適なエネルギーがないからこそ、現状では「どこを妥協するのかというところではあると思う」と見解を示しつつ、新たな技術革新には歓迎の意を示します。

しかし、今のウクライナの現状を鑑み、テロの標的になる可能性やITERを先導する先進国とそれ以外の国で分断が広がるなか、公平性の担保などの懸念点も示唆。

総じて堀は、今回の取材を通し「科学者の方々や携わっている人々が諦めずに、世界が分断するなかでもこの現場は維持しようと腐心する様子に感銘を受けた」と述べ、「これは私たちが使う電力の話でもあるので、誰か任せ、国任せ、専門家任せにする話ではない」と忠言。

キャスターの田中陽南も「エネルギーを使う私たちが知らないという問題がある。本当に学ばなければいけない」と考えを改めていました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag