TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月〜金曜7:00〜)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、各地で始まっている“給食費の無償化”の自治体格差をなくすために必要なことについて、Z世代とXY世代の論客が議論しました。

◆各地で進む学校給食の無償化、一方で自治体格差も…

物価高騰が続くなか、家庭の負担軽減などを目的に各地で給食費の無償化が始まっています。青森市では10月からスタートした他、東京でも葛飾区が2023年4月から23区で初めて実施。無償化する自治体としない自治体間での格差も問題になっています。

まずはZ世代の主張として、これまで番組内で度々給食費無償化を唱えてきた食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、「首長の一声が関係ない、省庁での無償化議論を」と声を大にして訴えます。

給食費無償化の理由としては、「子どもたちが家計の心配・不安を感じずに栄養満点の給食が食べられるのは重要なこと」と給食の意義を示します。さらに、将来的にZ世代が子どもを育てるようになったときのためにも、自治体格差を埋めていくべきと力説。

また、基本的に学校給食は学習指導要領の特別活動の一部であり、「日本国憲法でも義務教育の無償化に入るのではないかという話もある」と長内さん。にも関わらず、自治体ごとに違いがあるのはおかしいと異を唱え、それを解消するためにも省庁での一元的な議論を求めます。

同じZ世代で、アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんは、給食費無償化に反対。理想としては無償化が最適としつつも「より生活が厳しい方に手厚い支援をすべき。無償化のメリットを受けるのは富裕層」と言い、「水平的な公平よりも垂直的な公平を」と、より経済的に苦しい家庭への支援を望みます。

この阿部さんの考えに物申したのは、XY世代のコラムニストの河崎環さん。「誰がメリットを受ける・受けないの話ではない」とし、給食費無償化に関しても「大賛成」と話します。

そもそも給食は貧しくてごはんが食べられない子どもを学校が補完するという発想で開始されましたが、今となっては「その“補完”という発想をまずやめるべき」と河崎さんは“脱・「補完」発想”を展開。「子どもたちが平等に、教育の一環としていろいろなものを食べて育つという形に考え直していかないと、一律でみんなが同じように給食を食べることが広がっていかない」と主張します。

さらにもうひとつ、「給食は教育の一環として、教育自体を考え直すこと」と“国家としての教育観再編”を提唱し、「日本の典型として、今までは家庭に多く求めすぎていた。そこをやり直すいい機会」と変化を促します。

XY世代のキャスター・堀潤は「食・体験・留学 子どもは国費」と大胆な意見を提示します。するとスタジオにはどよめきが。「子どもたちには何の心配もなく、出自に関係なく、いろいろなことが経験できる国にしてほしい。それが将来的な寛容を生み、将来的に我々のイノベーションを支えてくれる」と持論を述べます。

そう述べる一方で、阿部さんが語る富裕層のメリットにも理解を示しつつ、「こういうご時世とあって富裕層も来年も富裕層かどうかわからない。だから、必ずしも富裕層だけで括っていいのかという思いもある」と悩ましい様子。

皆の意見を聞き、唯一反対派の阿部さんは「それぞれいい主張だと思う」と認めながらも「現実的に行うとなると無償化は難しい」と憂慮。そして、給食費無償化に賛成・反対、さまざまな意見を持った首長がいて然るべきとし、もしも反対論者の首長の政策が批判され、人口が減少するのであればそれが間違いだとわかると言い、「バラエティが大事なのでは」と訴えます。

この意見に、堀は「それは賛成」と同調します。河崎さんは、給食に関しては、例えば、神奈川県横浜市は中学校で無償化どころか給食が実施すらされておらず、そうなった背景には「給食の実施が、自治体に裁量を任されてきたから」と紹介。「その結果としての自治体間格差」と指摘します。

また、日本はご飯が美味しい上に、義務教育中は無償で昼食が食べられるとなれば海外に対する“国家ブランディング”としても有効で、「日本の教育、日本のカルチャーは豊かだという絶好のPRになる気がする。給食はそうしたひとつの戦略としても使えるいい材料」とも。

ここまでの議論を通し、長内さんは阿部さんの言う自治体ごとに最良を探る方法を受容しながらも、やはり大前提として「家計の心配をせずに子どもたちが給食を食べられることが重要」と強調。改めて、省庁での無償化議論を「するべき」と主張します。

◆給食費無償化の一端には、問題視される教師の業務軽減も

給食費無償化の動きについては、前述の通り青森市では10月から、2023年4月からは葛飾区に加え、千葉の市川市でも実施されます。全国的には、小学校・中学校ともに無償化している自治体は4.4%(76/1740自治体・2018年)。しかも、そのうち56の自治体が人口1万人未満となっています。

そして、給食費を巡る課題としては、その徴収と管理があります。それらを学校がしているというところが74%(2020年)で、自治体の関与が薄いという批判があると同時に、長内さんは昨今、業務過多が叫ばれる教員の負担を懸念。学校側が給食費の徴収することで保護者とのトラブルなども起こり得るため、「まずは学校負担をなくす、給食費の徴収・管理を自治体が行う公会計化を進めるのが解決の一歩」と提案します。

河崎さんは、再び横浜市の給食問題を例に挙げ、横浜市が後手に回った要因は急速な人口増加と分析。そして、予算は学校を増やすことが優先され、給食は家庭任せになったとその経緯について言及。その上で「昭和・平成はそれでも良かった。“家庭力”があった」と言い、「その家庭力を過重視した結果、給食格差が生まれた」と指摘。

つまり、夫婦共働きが当たり前の社会にシフトしたにもかかわらず、給食はそこに追いついていないとし、「社会を見直し、更新すべき」と河崎さん。

この日はTwitterの「スペース機能」を活用し、視聴者も参加。小中学校の現場に関わる仕事をしているという視聴者からは「長内さんが言う通り、無償化について真っ先に思ったのは、先生の負担軽減になること。やはり先生への負担は大きく、業務の軽減は必須。ただし、無償化すると子どもたちが(給食の)ありがたみがわからなくなる可能性があるので、そこはちゃんと教えてあげるべき」との意見が。

また、番組Twitterには「世帯全員、マイナンバーを作成した家庭は給食費無料にすればいい」という意見が寄せられ、これに阿部さんは、「将来的に、マイナンバーカードで給食費の支払いが確認できれば学校・先生の負担も減らせるのでは」と独自の見解を加えます。

そうしたなか、堀は「子ども議会」の開催を熱望。当事者である子どもたちが議論に参加できる仕組みを作り、「子どもたちに選んでもらえばいい」と話します。現在、2023年4月に創設されるこども家庭庁が子どもたちの参画を求め始めており「今がチャンスだと思う」とも。

河崎さんも「そういう機会は大事。世代を超えていろいろな感じ方があり、それぞれの経験、現場感覚というところでもさまざまな意見を戦わせるのは素晴らしいこと」と闊達な意見交換の場の創出を歓迎。

最後に、Z議会を代表し長内さんが提言を発表。それは「自治体ごとに分かれない、自治体をこえた議論を」。

河崎さんが話していたように時代が変化するなか、「いかに学校と連携して子どもたちの食の安全を大事にしていくか」と課題を示し、「(視聴者の)コメントにもあったように給食のありがたみ、食べ物が食べられることは普通じゃないということも食育、給食を提供するなかで併せてやっていかなければならないと思った」と長内さん。また、自治体格差については「格差が生まれてしまっていることが問題なので、やはり自治体ごとではなく一元的な議論をすべき」と主張していました。

※この番組の記事一覧を見る <番組概要>番組名:堀潤モーニングFLAG放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/番組Twitter:@morning_flag