TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月〜金曜7:00〜)。1月5日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、立命館大学准教授で社会学者の富永京子さんが“ハラスメントの壁”について述べました。

◆ハラスメントは自分の問題ではなく職場の問題

当時24歳だった電通の新入社員、高橋まつりさんが過労自殺して5年が経ち、母・幸美さんが代理人を通じて手記を公開。改めて長時間労働やハラスメントをなくすことについて考えてほしいと訴えました。

高橋さんの件について、ハラスメント的な言動や業務の押しつけがあったにも関わらず、彼女は全て自分の努力で解決すべき問題として捉えていたことに関心を抱いたという富永さん。そして「これは若い人を含め、日本の労働者全体にあること」と言います。

富永さん自身、過去にハラスメントを受けたものの、それをハラスメントと自覚したのは最近のことだったと打ち明けます。というのも、当時は高橋さんと同様に「自分が悪い、努力して乗り越えるべき」と思っていたようで、「私たちはハラスメントを自分の問題として捉えてしまう」と危惧。そこで富永さんは、「どうしたら職場・社会の問題として捉えられるのか」と提起しました。

厚生労働省の調査では、「ハラスメントを受けたことがある」と回答した人は32.5%。しかし、別の調査では特に先輩や上司との関係に軋轢を感じている人はこの数値よりもさらに多く、「被害を適切に自覚できていない問題がある」と指摘します。

さらに、パワハラを受けた後の対応は「何もしなかった」が突出して多く、40.9%。誰かに相談できる人は少なく、富永さんは「被害を『自覚する』までの壁」と「被害を『相談する』までの壁」という2つの壁の存在を示唆。

◆自覚の壁、相談の壁を乗り越える手段とは?

これらをいかに打開するか。まずは自覚の壁を乗り越える方法として、前例を確認すると良いと富永さん。社労士や弁護士などに確認される方も多く「7割はハラスメント認定されるので、まずは相談してみるのが手」と話します。

そして、ハラスメントを自覚したとしても相談できない理由には「職場に迷惑がかかる」、「他人を巻き込んでしまう」などがあり、これは若年層に多いそうで「ハラスメントはみんなで解決に当たるべき課題だと考えるのが重要」と希求します。

一方、年長者に多いのが「相談しても無駄」、「また不快な思いをしたくない」という理由で、今ではさまざまな相談窓口もあるため「信頼できる人や相談窓口を選んでいくのはあり得る選択肢」とアドバイス。

そして最後に「ハードルを上げないことが重要」とも。相談したからといってすぐにハラスメントがなくなるわけではありません。ただ、富永さんの経験的にハラスメントと思うだけで少しは楽になったそうで「(気持ちが楽になれば)解決に向けて前向きに動けるようになる。諦めるのではなく口に出してみることが大事」と主張。

MCの堀潤は、ハラスメントは後々自覚することが多いだけに「気付きの機会が大切」と訴えると、「やっちゃうのは仕方ない。やらない職場を作るのはほぼ不可能だから、やった人が謝れる環境を作るのが大事なんじゃないか、と言われたことがある」と富永さん。さらには「自分で気付いたら次はやらないようにするのが大事」と強調します。

前横浜市長で元衆議院議員の中田宏さんは別の視点からハラスメントについて言及。働き方改革でメンバーシップ型からジョブ型への移行が叫ばれていますが、「メンバーシップ型で逃げられない場所にいるからハラスメントはつらい」と指摘。「有能な人に逃げられると困る会社側のためにも、ジョブ型はある意味で効果的」と言いつつ、「ただし、個人の能力が問われる」と注意を促していました。

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<番組概要>番組名:モーニングCROSS放送日時:毎週月〜金曜 7:00〜8:00 「エムキャス」でも同時配信レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/番組Twitter:@morning_cross