女優・岸恵子(84)が9日、東京・なかのZEROホールで行われた「スペシャルトークショー〜夢のあとさき〜」初日の開演前に会見した。

 岸は18歳でデビューして以後、映画「雪国」や「君の名は」など数々の名作に出演。一方で国際的な活動家としての顔を持っている。今回のイベントは、さまざまな国や場所で遭遇してきた出来事、著名人とのエピソードを明かすトークショーとなっている。

 岸は「人は人生を歩くとき、ふと違った風景に出会うもの。そこで見過ごすのか、パッとつかむのか。私はよくつかんできたので、いろいろな風景に出会ってきました。2〜3回は身の危険を感じたこともある。こんな人生もあるんだと思ってもらえればいい」と抱負を語った。

 イランでは革命防衛隊に手錠をかけられそうになったこともある。さらにソ連のスパイだったリヒャルト・ゾルゲを扱った日仏合作映画「スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜」(61年製作)に出演した際には、こんなことがあったという。

「私の元夫(フランス人映画監督の故イヴ・シャンピ氏)が撮影したんですが、モスクワ国際映画祭に出品しようとしたところ、ソ連の陸軍大臣から『ソビエトにスパイはいなかった。ゾルゲなんか知らない』と却下されたんです。ところが、当時の最高指導者フルシチョフに呼ばれ、モスクワ市内の21館で公開されることになりました」

 すると観客は総立ち。かなりの熱狂で迎えられ「ソビエト初の闇切符まで出回りました」と笑った。

 この映画がきっかけで、ソ連国内のゾルゲの評価は一変。ゾルゲの記念切手やゾルゲ通りまでできるなど、同国の英雄になったという。ある意味で、ソ連やロシアの歴史を変えたと言っても過言ではない。

 全国19公演が行われる今回のトークショーでは、ほかにもとっておきの秘話が飛び出すかもしれない。