【ダイアモンド・ユカイの昭和ロックを語る時が来た!(5)】音楽ファンならずとも気になる話が次々と飛び出す対談企画。昭和の終わりごろ、日本のロックに大きなムーブメントを巻き起こしたバンド「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド・ユカイ(55)が、「BOOWY」のドラマー、高橋まこと(63)と当時を振り返る。BOOWYが生んだ「転換点」、布袋寅泰の進化、そしてロック史に刻まれるべき年とは?

 ユカイ:前回はBOOWYの3枚目のアルバム「BOOWY」(1985年)で、ドラムの録音方法がガラッと変わったって話だったけど、ギターやベースのとり方も、あのころから変わったよね。

 高橋:あの前はボーカルばかり大きくて、楽器の音が小さかったんだよな。俺がデビューしたバンド「HERO」もそう。ドラムの音なんて小さい小さい。そういうのが当時のスタジオの狭いドラムブースや録音方法に表れていたのかもな。

 ユカイ:歌が中心、次ギター、ドラムとベースはチョロ、って感じだった。これって「フォーク」の録音方法を引きずっていたからだよ。そんな時代にロックをやりたい人が裏方に回り、音の作り方を変えた。「四人囃子」(74年メジャーデビュー)にいた佐久間正英さんは、まさにそんな一人。佐久間さんは「BOOWY」でロックの音を確立し、このアルバムがひとつの区切りになった。

 高橋:当時、定着していた「フォーク」的レコーディングが、あそこから「ロック」のレコーディングに切り替わったってことだな。

 ユカイ:BOOWYがここまで伝説になったのは、この“転換点”を生んだからというのもあると思う。そして4枚目「JUST A HERO」(86年3月)でまた変化したね。

 高橋:3枚目の時に佐久間さんからいろいろ学んだ布袋寅泰がプロデュース。佐久間さんはアドバイザー、前作に続きマイケル・ツィマリングがエンジニアだな。

 ユカイ:布袋くんの進化だよね、BOOWYを変えたのは。このころ、他のバンドにも影響を与える存在になってたよ。彼は何に影響を受けてたの?

 高橋:あの少し前から、英国系の音楽を死ぬほど聴いてたよ。そのころの日本で洋楽といえば、LAメタルとか米国系のハードなのがはやってた時期だったけど、アメリカよりイギリスだったな。

 ユカイ:布袋くんは演奏が個性的でタッパ(身長)があったから、存在感があった。それにデビュー後に何度かイベントで会ったけど、若い時から先を見据えているような、達観しているような感じがあったんだよね。それまでもCharさんというギターヒーローがいたけど、布袋くんは新たなギターヒーロー。日本のバンドのギタリスト像って、このころの布袋くんを境に変わったと思う。

 高橋:あのころの布袋は音楽的にどんどん成長していった。

 ユカイ:シャケ(木暮武彦=レッズのギター)も少なからず影響受けてたんじゃないかな。

 高橋:レッズの音も、俺が叩きに行った後、ずいぶん変わったよな。

 ユカイ:最初はレベッカの残像を追ったところがあったけど、名前を「レッド・ウォーリアーズ」に変えたあたりから、どんどんデジタルな部分が消え、ディレイがなくなり、ストレートなロックになっていった。BOOWYは4枚目の時に何が変わったの?

 高橋:それまでより「音源を残す」という意識が強かったよ。ビートルズで言えば「ラバー・ソウル」の時の変化みたいな感じかな。

 ユカイ:このアルバム発売後、ほどなく人気が爆発した。86年の1年間で急激に坂を上がったよね(編集注=7月に武道館公演を行ってすぐライブアルバムを発売、9月にシングル「B・BLUE」がヒットし、11月に出した5枚目のアルバム「BEAT EMOTION」は累計120万枚の大ヒット)。

 高橋:ギタリスト兼プロデューサーとしての布袋の素質が一気に開花し、メンバーの力量もどんどん上がった年だった。

 ユカイ:3枚目が出た85年が日本のロックの音作りが変わった年だとすれば、86年は日本のロックが大きく花開いて定着した年だよ。レッド・ウォーリアーズのデビューも86年だしね。85、86年は日本のロック史にしっかり刻まれるべき年だね。

☆ダイアモンド・ユカイ=1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズでデビュー。89年に解散後、数度再結成。ソロとしてのカバーアルバム「Respect III」、著書「タネナシ。」「育爺。」が発売中。2015年に織田哲郎と結成したバンド「ROLL―B DINOSAUR」の2ndアルバム「SUE」が発売された。

☆たかはし・まこと=1954年1月6日生まれ。福島県出身。ドラマー。77年に元「安全バンド」の長沢ヒロとHERO結成。78年、デビュー作レコーディング後に脱退。81年にBOOWY加入。87年の解散後は「De+LAX」ほか数々のバンドに参加。2016年に“最後のバンド”「JET SET BOYS」結成。最新作は「BIRD EYE」。過去の著書に10年分の情報をプラスした文庫版「スネア」が発売中。