巨人は15日、2位・阪神との直接対決(東京ドーム)に6―3で逆転勝ちし、今季最長の8連勝。優勝マジック「38」を点灯させ、早くもカウントダウンに突入した。1強態勢を築き上げたのは、やはり原辰徳監督(62)の手腕だろう。この日はコンディション不安があった坂本勇人内野手(31)をビハインドの展開でも途中交代。危機管理を厳格化させる背景には、昨季経験した〝悪夢の2週間〟もあった。 

 もはや敵なし状態だ。2―3の6回に3点を挙げ、8回にも1点を追加。投げてはエース菅野が6回3失点の粘投で1938年のスタルヒンに並ぶ「開幕11連勝」を飾り、打っては女房役の大城が3打点を叩き出す活躍だった。

 72試合目でのマジック初点灯はセ・リーグ史上最速だ。それでも原監督は「志半ば、戦い半ばです。僕は全く意識していません」と意に介さなかったが、球場内をザワつかせたのが主力の相次ぐ早期交代劇だった。

 1点を追う6回の守備から坂本をベンチに下げ、どちらに転ぶか分からない2点リードの7回からは主砲の岡本も下げた。いずれもコンディション不良が原因だったが、病院には行かず、大事を取っての交代という。

 指揮官が「今年は早め早めというのは今、始まったことではない」としたように、過密日程の今季はいっそうの危機管理を徹底。控えメンバーを総動員する形で負担を分散させ、故障リスクを軽減させている。特に中軸選手が長期離脱となれば、チーム状態が一気に悪化する危険性もはらむ。それだけに、より石橋を叩いて渡るような慎重さも兼ね備えた采配になるわけだが、理由は他にもあるという。それは、2019年のトラウマだ。

 昨季も一時は独走態勢を築き、2位に10・5ゲームの大差をつけていた。ところが、夏場にチーム状態が急激に悪化。DeNAの猛追を受け、わずか2週間で10ゲームを縮められ、0・5差まで肉薄された。結果的に何とか踏みとどまり、首位の座を明け渡すことはなかったが、この悪夢は首脳陣の間にも教訓として深く刻み込まれている。

 コーチの一人は昨季を振り返った際に「10・5ゲーム開いた時に、どこかで『もう優勝だな』と思ってしまった。それがアレヨアレヨという間に0・5まで来た。油断があった。その時、『マズい、優勝できない』と思った」と語り、〝勝負の怖さ〟をつくづく思い知らされたという。

 やはり、どんなに注意しても隙は生まれる。しかし、同じ轍を踏むわけにはいかない。くしくも、この日の勝利で2位の阪神とは10・5差となった。このままVロードを快走するためには、選手のケガにつながるわずかな異変も見落とさない首脳陣の〝目〟も大きなカギとなりそうだ。