完敗でも逆襲の兆しアリだ。ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組の第2戦(17日=日本時間18日、フランス・ニース)が行われ、世界ランキング14位の日本は同6位のイングランドに12―34で敗れた。格上相手に金星はならなかったが、1999年W杯日本代表の平尾剛氏(48=神戸親和大教授)は桜戦士の戦いぶりを高く評価。2大会連続の決勝トーナメント進出も十分可能とする〝根拠〟を力説した。

 イングランド戦は前半を9―13で折り返すと、後半14分にはSO松田力也(埼玉)のペナルティーゴールで1点差まで迫るなど必死に食らいついた。前回対戦した昨年11月は13―52と大敗。試合内容は進境を見せ、松田は「ラインブレイクもできたし、良いアタックができていた」と手応えを口にした。

 平尾氏は「チームがまとまっていると感じた。プレーが止まった時に円陣を組んでいたが、選手一人ひとりの表情が非常にアグレッシブだった」と随所にチームの一体感が出ていたと分析。「後半16分に許したトライはアンラッキーだったが、スクラムで互角に戦えていてディフェンスも良かった。相手のキックに対する防御も機能していたので、前半の僅差につながった」と内容には好印象を持っている。

 今後は28日(日本時間29日)に世界ランキング11位のサモア、10月8日には同10位のアルゼンチンと対戦する。もう負けが許されない戦いとなるが「イングランドの強いFW、体格の大きいBKに対してディフェンスができていた。サモアとアルゼンチンは、勝負どころを逃さないイングランドほどのプレッシャーはなく、調子に乗らせれば怖いが、つけ入るスキはある。次の試合以降もあのディフェンスができれば十分勝機はある」と、持ち前の堅守を発揮できるかがカギとなる。

 そしてチームの救世主となりそうなのが、この2人だ。「ディフェンス面ではFLピーター・ラブスカフニ(東京ベイ)の存在が大きかった。彼がカバーをしてくれるので、CTBが思いきっていけた。オフェンス面もBKレメキ・ロマノラバ(東葛)がトライこそなかったが、さすがのプレーだった。キック処理もソツがなく、先発でもいいのではと思ったくらい」と太鼓判を押した。

 次戦のサモアには7月の強化試合で黒星を喫したが「ジェイミー(ジョセフ・ヘッドコーチ)らスタッフ、選手たちはW杯にピークを合わせるように調整してきた。この大一番でようやく面白いラグビーが見られたので、サモア戦ではトライを取り切る試合を見せてほしい」。過去の自分たちを超えるべく、進化を遂げて逆襲を狙う。