【中京記念(日曜=23日、中京芝1600メートル)栗東トレセン発秘話】あれは1か月前のこと。

 橋口厩舎の大仲(休憩所)で、その週の出走馬の談話を聞いていた時、不意にトレーナーの携帯電話が鳴った。

「はい。ええ。いい感じできています。よろしくお願いします」

 相手は横山典だった。

「ワンアンドオンリーの調子はどうかって。レース(中京記念=日曜・23日、中京芝1600メートル)までまだ1か月もあるこの時期に、気にかけてくれるのはうれしいですね」

 エージェントをつけていないからという事情もあるのかもしれないが、当代きっての名手が、わざわざレースの1か月も前に、GIIIに出走する騎乗馬の近況を尋ねてくるのは、管理調教師にとってみれば、うれしいと同時に心強い思いだろう。

 そもそも2歳未勝利戦V以来、3年10か月ぶりとなるマイル戦に出走するキッカケになったのが、他ならぬ横山典の進言だった。

「前走(目黒記念=10着)後に、ノリさんが“この馬、まだやれるよ”ってアツく語ってくれて。20分ぐらい話し込みましたかね。ノリさんは以前から短い距離のほうがいいと思っていたらしい。中京記念はどうかって提案してくれたのもノリさんです」と橋口調教師。

 近走が冴えないとはいえ、仮にもダービー馬である以上、ハンデを背負う側の立場になるし、長距離戦から一気の距離短縮にうまく対応できるか不安は残る。が、これまで数え切れないぐらいの競走馬の本質を見抜き、それを陣営にサジェスチョンして、結果を残してきたベテランのジャッジが、気になるのもまた事実だ。

「今までモタれる面を見せていましたけど、今はそれが全くないですからね。前回より状態はいいですよ。もうブリンカーも着けませんし、あとはノリさんの言うことにかけてみたいです」(橋口調教師)

 果たしてダービー馬ワンアンドオンリーがどんな走りを見せるのか。今年の中京記念の見どころのひとつになる。