23日、中京競馬場で行われたサマーマイルシリーズ(9・10京成杯AHまで全3戦)第1戦のGIIIの中京記念(芝1600メートル)は、2番手から競馬を進めたウインガニオン(牡5・西園)が勝利。3連勝で重賞初制覇を果たしたが、何よりのトピックは“ハナを切らずに勝利した”こと。逃げ馬は逃げなければ勝負にならない――そんな固定観念を覆したレースを改めて振り返る。

「ハナを切ってこその馬」――そんな刷り込みは他陣営の警戒を緩める意味合いがあるのかもしれないが、実際に展開の恩恵を受けやすい逃げ馬は、実力を過少評価されることが少なくない。その発信地が“身内”である場合は取捨がさらに難しくなる。

 実際、オープン特別を連勝して挑んだウインガニオンに対しての今回の評価も「57キロのハンデなのに人気(9・0倍の5番人気)してたので大丈夫かと思った。ここ2戦は展開に恵まれた面があったので」と西園調教師は相当な弱気。それが同師の本音だったかどうかは別として、この日のウインガニオンが見せたパフォーマンスは、そんな“低評価”をあざ笑うほどの強さだった。しかも、ハナを切ってこその馬がハナを切らずに完勝してしまったのだから、冒頭の前フリももはや使えない。

「逃げようと考えていたんですよ。でも、スタートを出た瞬間に首を左右に振って…。やべえなとは思ったけど、ハナに行ける状況ではなくなってしまったし、もう番手でいいやって」と津村。トウショウピストが離して逃げたことで、2番手でも逃げているようなレースになったが、津村は「馬混みの中での番手でも大丈夫か、と聞かれたら絶対とまでは言えない」と正直に話す。直線も横に広がる競馬になった。ゴチャつく状況になった時の対応は今回のレースを終えても不透明だが、実際にまたがった人間にしかわからない感覚もある。

「今日の感じだったら大丈夫。今後も逃げられないレースがあると思うけど、そんな時でも力は出せる気がした。そんなことよりも大事なのは、自分たちが思っている何倍も馬が強くなっているということ。重賞の今回がこれまでで一番強かったんだから」

 その感想は西園調教師も一緒だ。

「発汗する夏がいいのは確かだけど、今回は本当に強い競馬だった。順調ならサマーマイルシリーズ2戦目のGIII関屋記念(8月13日=新潟芝外1600メートル)に行くしかない」

 3連勝で重賞制覇を決めたことで、愛馬の強さを認めるしかなかった。取材後には「でも、いろいろなことに恵まれました」と懲りずに?けむに巻いていたが、さすがにもう通じない。今回のウインガニオンは展開不問で強かったのだ。