夏の新潟開幕を告げる名物重賞で、サマースプリントシリーズ第3戦のGIIIアイビスサマーダッシュ(30日=芝直線1000メートル)は、8番人気のラインミーティア(牡7・水野)が優勝。初めての重賞タイトルを手にした。準オープンの身ながら強気の格上挑戦を実らせた要因は何だったのか。関係者の声をもとに検証する。

“直線の仕事人”が久々に魅せた。今回でラインミーティアに4戦連続で騎乗し、能力も癖も把握した鞍上の西田に迷いはなかった。作戦はただひとつ。「この馬の切れ味を存分に出し切る」だけ。

 スタート直後から馬任せの位置取り。後方の外ラチ沿いを進んで、脚をためるだけためる。後半地点に差し掛かり、フィドゥーシア(2着)とアクティブミノル(4着)の間にスペースができると一気にスパート。最後の最後でフィドゥーシアをクビ差で捕らえた。

「春に乗った時にこの馬の切れ味はオープンでも通用する、と思っていた。だからペースがどうあれ、勝ちにいかないで自分のリズムを守ることを心掛けた。届かなければ仕方がないって感じで」(西田)

 とはいえ、究極のスプリント戦で後方に待機するのはある意味、危険な賭け。有利とされる外枠(15番枠)を引いたといっても、控える作戦では前が壁になりやすい。まして、有力馬のフィドゥーシア、アクティブミノルは好スタートを決めて前へ。そんな状況で後ろに下げるのは勇気がいる。それをさりげなくやってのけるのは、まさに“千直名人”と言われる西田のなせる業だろう。

 名手に引き出された上がり3ハロンは31秒6。レース歴代最速31秒5(2016年ブライトチェリー=7着)に0秒1差。同馬はこの驚異的な数字を過去に2度(邁進特別1着、韋駄天S=4着)マークしている。西田の見立て通り、過去のチャンピオンにヒケを取らない直線のスペシャリストだったというわけだ。

 格は下でも、鞍上&馬が直線競馬最適の強力タッグとあれば、今回の結果も納得か。「気楽に見てたからね(笑い)。サマースプリントシリーズを狙うとか次走はまだ…。いずれにしても、直線競馬にこだわって使ってきたのが良かった。秋開催にもオープンがあるから」とは水野調教師。

 今後は未定だが、ここまできたらとことん直線競馬を極めてほしいところ。最強タッグにはすでに来年のこのレースも視野に入っているに違いない。