崖っ縁男がワンチャンスを生かしてチームの危機を救った。中日・八木智哉投手(33)が30日の阪神戦(ナゴヤドーム)に6回2安打無失点の好投で2015年9月19日以来となる勝利を挙げ、チームの連敗を7で止めた。「勝てたこととチームに勝ちがついたことがよかった。ナイスピッチングだったと思う」と自画自賛で満面の笑みだ。

 今季は開幕ローテ入りしたものの4月5日の広島戦(マツダ)で打球を当て途中降板。そこから二軍暮らしが続いていたが「経験値を買って。あとはとにかく(左打者の)福留選手が嫌なんで」(友利投手コーチ)とベテラン左腕に白羽の矢が立った。

 もっとも本人にしてみれば「ラストチャンスだという思いでマウンドに上がりました」と来季の契約に直結する大事な登板。しかもそんな試合がよりによってチーム7連敗中。その重圧はハンパではない。そんな中で自分の投球ができたのは“広島キラー”の看板があったからだという。

 オリックスから戦力外となった14年オフに中日に拾われる形で入団。翌年に4勝したが、そのすべてが広島戦だった。昨年の登板は8月26日の広島戦(ナゴヤドーム)の1試合のみ。ここで6回1失点の好投で契約延長を勝ち取る。“広島キラー”としての価値を認められ、クビを免れたのだ。

「(広島キラー)そこが僕の生きる道。だからこそ、その重圧は大きい。ひとつ変な試合をしたらそのポジションを取られてしまう。でもそういう中でプレーしていたことが生きた」と八木。土壇場に強い男がきっちりとチャンスをものにした。