日本ハムの中継ぎエース・谷元圭介投手(32)の中日への電撃移籍が期限ギリギリの先月31日に決まった。昨季日本一の功労者を放出に踏み切った日本ハムと投手陣の整備に苦しむ中日。低迷が続く両球団の思惑とは…。

 谷元は昨年まで3年連続50試合以上に登板し、今季も36試合の登板で0勝2敗1セーブ、21ホールド、防御率3・31をマーク。昨年の広島との日本シリーズでは胴上げ投手を務めるなど、ここ数年、日本ハムのブルペンを支えてきた功労者だ。当初は交換要員の話し合いがもたれていたようだが、折り合わずに金銭で決着。日本ハム側の放出ありきのトレードだったと見られる。

 6月21日に国内FA権を取得したばかりの谷元を、なぜ急いで放出しなければならなかったのか? そこには3年目で台頭してきた石川、2年目の田中、ルーキー・玉井らの集中的育成に大きくかじを切った球団の決断がある。残り50試合を優先的に若手の育成に使って来季以降の戦力とするには、その出場機会を確保するために同じポジションの谷元の登板機会を削るしかない。谷元はそんな球団方針の“犠牲者”となった格好だ。栗山監督も「谷元には感謝している」と苦しい胸中を吐露している。

 一方の中日は、FA権を持つ谷元が2か月働いただけで他球団に移籍してしまうリスクがある。それを承知の上で獲得に踏み切った意図について西山球団代表は「今のチームに彼が必要だと判断した。こういうチーム状況で、あれだけの経験と実績があり、どういう場面でも強い気持ちで投げることができる。いい意味での化学反応が起きるんじゃないか」と説明した。

 中日は残り47試合で3位DeNAとは8・5ゲーム差。逆転のAクラス入りは生半可なことでは達成できず、日本シリーズ胴上げ投手の獲得は他の選手への大きな刺激になるはず。また、西山代表は「経験を若い投手に伝えてほしい」とも要望した。4年連続Bクラスで常勝軍団だった時代を知らない若手も増えてきた。そうした選手へ“勝つチーム”の思考を植えつける狙いもある。

 この日、ナゴヤ球場に隣接する屋内練習場で入団会見した谷元は「本当に驚いてびっくりしましたが、今は中日のために一生懸命頑張りたいなと思っている。三重生まれの鈴鹿育ちで小さい時は中日ファン。今年1年、ナゴヤドームの試合は(球宴を含め)4試合ですが、全部投げている。縁があるのかなと思う。僕自身、1つのピースになれればいい」と前を向いた。両軍にとってプラスとなるか注目だ。