ボクシングのダブル世界戦(23日、東京・大田区総合体育館)、IBF世界ミニマム級タイトルマッチは同級9位の京口紘人(23=ワタナベ)が王者ホセ・アルグメド(28=メキシコ)に3―0で判定勝ち。尊敬する元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(47)と並ぶプロ8戦目で世界王者になった。

 初の世界挑戦に金色のガウンとトランクスで入場した京口は、自身のイメージカラーというオレンジのグローブを着用。試合は立ち上がりから激しいパンチの応酬になった。相手がクリンチを多用する流れを一気に引き寄せたのが9回。左の連打でダメージを与えると右でダウンを奪い、勝負の決め手になった。

 宣言していたKO勝ちこそ逃したものの、ボクシングを始めたときからの夢をかなえて「チャンプになれてうれしい」と素直に喜んだ。スッキリしない結果にも「初防衛戦でしっかりぶつける」と新たな目標を定めた。

 デビューからわずか1年3か月。日本選手最速で世界王者になった新王者は一体、どんな男なのか。京口を育て上げた井上孝志トレーナーによると、根が明るい性格で、練習中でもいつも話しているという。「おしゃべり京口」ともあだ名され、エアロバイクで汗を流しながら、報道陣の質問に答え続けるほど。井上トレーナーは「しゃべって減量している」と冗談めかす。

 さらに“浪速のジョー”辰吉とも交流があり、故郷の大阪では中学時代から辰吉の指導を受けてきた。本人からの要望もあって、24歳も年上の辰吉を「ジョーちゃん」と呼ぶ仲だ。初の世界戦が決まった京口に辰吉は「死ぬ気で練習しろ」と激励。その言葉に京口も「辰吉と一緒に戦う」という決意のもとストイックなトレーニングを重ねてきた。

 戦前に「ここまで来るとは思わなかった」と井上トレーナーは語っていたが、ジムの先輩・田口も「ひと皮もふた皮もむけた」と、その成長に目を見張る。“ジョー魂”を持つ陽気な新王者から今後も目が離せない。