メキシコでの新生活をスタートさせたFW本田圭佑(31=パチューカ)の敵は“ピッチ外”にあり――。新天地でのデビュー戦へ向け調整を開始した日本代表のエースに対し、現地の注目度は日に日に高まっている。だが、それが思わぬ災難を呼び寄せる懸念も。本拠地の近くには“世界最凶”の犯罪集団の拠点があり、近年はサッカー選手を標的とした事件も発生。本田も決して安全が保証されていないという。

 足の筋肉の故障が判明し、デビューが8月中旬へと大幅にずれ込むことになったとはいえ、本田への注目度は下がることはない。連日のように一挙手一投足が報じられ、メキシコ国内のファンからも熱い視線が注がれている。だが、この状況は思わぬ危険を呼び込む恐れがあるという。「メキシコでは警察が機能しないほど犯罪組織がはびこっていて、スポーツ界の八百長も横行している。人気の高いサッカーは狙われやすく、選手への圧力やトラブルも増えている。本田のような注目を集める選手は特に気をつけないといけない」と現地事情に詳しい広告代理店関係者は指摘する。

 メキシコは近年、複数の麻薬組織が急激に勢力を拡大し、警察官や市民などが惨殺される事件が頻発している。そうした犯罪集団は資金源の拡大を狙って八百長を仕掛けるケースも多く、国民の間で人気のあるサッカー選手はターゲットになりやすい。試合の勝ち負けだけでなく選手個人を対象にしたゴール数など賭けの種類も多様化しており、当局も監視を強化しているのが現状だ。

 昨年5月には、イケメンの人気選手として有名なメキシコ代表FWアラン・プリード(26=グアダラハラ)がガールフレンドとともに武装集団に誘拐される事件が発生。なんとか自力で脱出して事なきを得たが、事件の原因として身代金目的や八百長をめぐるトラブルなどが取りざたされた。

 この事件が発生したタマウリパス州は米政府が「最も危険な麻薬カルテル」と警告する「ロス・セタス」の本拠地で、本田が加入したパチューカのあるイダルゴ州からも近い。パチューカにも組織の縄張りが及んでいるとみられ、本田にとっても決して人ごとではないのだ。

 本田はチーム最高額の推定年俸400万ドル(約4億4000万円)と現地でも大々的に報じられているだけに、麻薬組織にとっては身代金目的でも格好のターゲットになりかねない。当面は試合出場がなく、故障箇所の治療や回復、高地順応に時間をかけることになる。ピッチに立つことも重要だが、まずはピッチ外に気を配る必要がありそうだ。