大相撲名古屋場所千秋楽(23日、愛知県体育館)、横綱白鵬(32=宮城野)が横綱日馬富士(33=伊勢ヶ浜)を寄り倒し、14勝1敗で2場所連続39回目の優勝を決めた。今場所は稀勢の里(31=田子ノ浦)と鶴竜(31=井筒)の両横綱が途中休場し、日馬富士も優勝争いに絡めずじまい。角界内に4横綱時代は長く続かないとの定説もあるなか、白鵬の「一人横綱時代」に逆戻りする可能性を指摘する声も出てきた。

 白鵬は表彰式の優勝力士インタビューで「名古屋の皆さん、サン、キュー!(39)」とV回数にかけた第一声で場内を沸かせた。「魁皇関の1047勝もありましたけど、同じ横綱として千代の富士関の1045勝という名古屋場所の目標を掲げて両方を達成できた。皆さんにそれを見せることができて幸せ」と満面の笑みを浮かべ、次の目標を問われると「幕内1000勝(現在956勝=あと44勝)」と即答。かねて公言する優勝40回とともに前人未到の大台到達に照準を定めた。

 今場所が始まる前は新大関高安(27=田子ノ浦)の誕生や稀勢の里の復活に注目が集まったが、終わってみれば“白鵬一色”。特に場所後半は通算最多勝記録の更新(この日で1050勝)、最後はV39と話題を独占した。

 日本相撲協会の八角理事長(54=元横綱北勝海)は「集中力があるし、勝ち方を知っている。完全復活? そうだろうね。(優勝40回は)“今年中には”と思っているのでは」と大横綱に脱帽の様子だった。一方で、他の3横綱は稀勢の里と鶴竜が途中休場。日馬富士も初日からの2連敗で優勝争いに絡めず、地位にふさわしい存在感を示すことができなかった。

 大相撲では4横綱時代は長く続かないとの定説があるなか「他の横綱と違って“無理をして頑張っている”と思わせないのが白鵬のすごいところ。今の横綱の中で最後まで生き残るのは白鵬だけ」(角界関係者)との見方も強まっている。今場所で見せた力の差を見る限り、白鵬より後に誕生した横綱が先に引退して「一人横綱時代」に逆戻りしてしまう可能性も否めない。

 一方で、若い新世代の力士が台頭してきたことが白鵬の新たな刺激にもなっている。今場所は関脇御嶽海(24=出羽海)、幕内北勝富士(25=八角)、幕内宇良(25=木瀬)ら平成世代の力士たちの活躍が盛り上がりに一役買った。師匠の宮城野親方(59=元幕内竹葉山)は「横綱は(若手力士に)強いところを見せつけて『お前ら上がってこい!』という強い気持ちを持っている。強い力士が出てくれば、自分から出稽古にも行くだろう」と大横綱の思いを代弁した。

 本場所で優勝を争う直接的なライバルである横綱大関陣だけでなく、次に出てくるであろう新世代にも目を向ける余裕があるのは、白鵬ぐらいのものだろう。まだしばらくは大横綱の“一人天下”が続くことになりそうだ。