先日のジャパンダートダービーは武豊騎乗のノットゥルノが早めの仕掛けで抜け出し見事、3歳ダート王に輝いた。一方で最後の直線で猛然と追い上げたものの、あと一歩で栄冠を逃したのが菅原明騎乗のペイシャエスだった。

「ジョッキーが一番悔しがっていました。もちろん、僕も悔しいのですが、2000メートルの距離をこなせたし、ユニコーンS(1着)同様にきっちりと折り合いがついて、馬混みも克服する収穫もありました。以前のことを思えば、かなり成長しましたね。世代トップクラスの力を示せたし、ホッとしているというのが本音です。次走予定の日本テレビ盃(9月28日=船橋1800メートル)も出られれば楽しみですね」

 こう手応えを口にした吉開助手が手がけるもう一頭の重賞ウイナーがジュライS連覇をもくろむケンシンコウだ。

 一昨年のレパードSの覇者で、2走前のマーチSでも0秒1差2着に好走している。当然、ここも有力なV候補と目されているのだが…。とにかく気ムラでアテにしづらい面があるのも確かだ。

「原因はよく分からないのですが、この中間もいい時と比べると絶好調とは言えないですね。悪くはないんですけど、いまひとつ走りに柔らかさが欠ける印象です。ただ好調だから走るという馬でもない。いつもゲートを出るまで分からないんですよね。気分次第の馬なので自信は…ないです(笑い)」(吉開助手)

 期待すれば裏切る、忘れたころに激走する。傾向をつかみづらい馬だけに、吉開助手はあらゆる工夫を重ねてきた。その中で効果が表れたものがいくつかある。

 その一つがペイシャエスも着用しているクロス鼻革だ。毎週のようにまたがっている田辺が「これのほうがいいね」と太鼓判を押している。

 もう一つはパドックでの順番で「馬番が1番の時、先頭でペース良く回ったら、ストレスが軽減しているように感じました。それからはなるべく先頭にしてもらうようにしています」。

 できる工夫をすべて行えば、あとは馬の気持ち次第となるが…。ケンシンコウには馬房が隣同士で仲良しのペイシャエスに負けない走りを期待している。

扇風機のおかげで快適に過ごすケンシンコウ

著者:垰野 忠彦