〝春の主役たち〟を置き去りにしたフサイチソニック(左)

【記者が振り返るベストレース】神戸新聞杯の流れが変わったのは00年。従来の正統トライアル・京都新聞杯が5月に移行したため関西エリア唯一の菊花賞TRに。その重要性はグンと増した。しかし、記念すべき00年の勝ち馬はその後の競馬史に名を残してはいない。

 1番人気は皐月賞馬エアシャカール。2番人気はそのエアを破り主戦・河内に悲願のダービータイトルをもたらしたアグネスフライト。再戦となったここでもダービーのハナ差を1/2馬身に広げ、再びアグネスがエアに先着を果たしたが…。その2馬身先で先頭ゴールインを決めたのは同年随一の上がり馬・フサイチソニックだった。

 デビューは7月。ダートの2戦こそ3、2着と取りこぼしたものの、芝に矛先を向けるや未勝利→500万→900万→GⅡと4連勝…。まさに“破竹”の表現がふさわしい快進撃の予告を記者は早い段階にキャッチしていた。陣営から“秋の秘密兵器”と耳打ちされていたのだ。その週に出走した知床特別(500万)での評価は後になれば不当ともいえる4番人気、後にセントライト記念を制するアドマイヤボスとの馬連1210円は実にオイシイ馬券だった。

 神戸新聞杯快勝後は距離適性を考慮し天皇賞・秋へ進むプランが浮上したものの…。菊花賞か、天皇賞かの決断前に左前浅屈腱炎を発症。2年後にシンボリクリスエスが踏襲し成功した、一挙の古馬超え狙いローテは実現しなかった。

 真の実力はベールに包まれたまま引退→種牡馬入りしたフサイチソニック。GⅠ馬2頭を撃破した神戸新聞杯のパフォーマンスの価値は永遠に謎のままだ。(2007年9月19日付東京スポーツ掲載)

著者:東スポ競馬編集部