ゴール前で〝きっちり〟差し切ったイクイノックス

天皇賞秋2022

[GⅠ天皇賞秋=2022年10月30日(日曜)3歳上、東京・芝2000メートル]

 30日、東京競馬場で行われたGⅠ天皇賞・秋は、後続を10馬身以上突き放す大逃げを打って驚異の粘りを見せたパンサラッサと、中団から鋭い切れ味で差し込んだイクイノックスがゴール前で〝交錯〟し、スタンドを大いに沸かせた。結果は、イクイノックスが1馬身突き抜けてGⅠ初戴冠となったのだが…。

 注目すべきは1着イクイノックスと2着パンサラッサの上がり3ハロンの差。イクイノックスが最速32秒7に対して、パンサラッサは36秒8。実に「4秒1」もの落差が1馬身差の中に収まったことになる。

 通常、1、2着馬の上がりは大きく差がつくものではなく、高いレベルで行われるGⅠとなればなおさら。天皇賞・秋以前に行われた今年の平地GⅠで1、2着馬の上がり差が1秒以上ついたレースはひとつもなく、逆に上がり差ゼロのレースはヴィクトリアマイル(1着ソダシ、2着ファインルージュ=ともに33秒4)、安田記念(1着ソングライン、2着シュネルマイスター=ともに32秒9)と2例もあった。

 過去5年でさかのぼっても、上がり差が4秒もついたレースはひとつもなく、2019年エリザベス女王杯の2秒差(1着ラッキーライラック=32秒8、2着クロコスミア=34秒8)、2018年秋華賞の1秒8差(1着アーモンドアイ=33秒6、2着ミッキーチャーム=35秒4)が目立つ程度。

 上がり3ハロン4秒1差が1、2着馬の間に出現するためには、能力が並外れて高い、全く異端の脚質を持った2頭がある程度接近したままゴールしなければならない。今回の天皇賞はまさに競馬史に残る奇跡だったのかもしれない。

著者:東スポ競馬編集部