ウインカーネリアンのドラマは最終章へ

マイルチャンピオンシップ2022

[GⅠマイルチャンピオンシップ=2022年11月20日(日曜)3歳上、阪神競馬場、芝外1600メートル]

「量」より「質」で勝負するマイルCSの関東馬。復活のサリオス&安定のシュネルマイスターに任せておけば大丈夫、と言いたいところだが、〝第3の馬〟も忘れてはならないだろう。マイルのリステッド2戦+GⅢ3連勝でここまでノシ上がってきたウインカーネリアン。「サマーマイル王者」に輝いた走りは間違いなくホンモノだ。

 前走の関屋記念は前半3ハロン通過36秒2という条件戦レベルのスローペース。2番手から運んだ展開利が大きかったという見方も多いが、そこだけに執着すると事の本質を見失う。昨年のダービー卿CTを挫石で取り消した後、蹄葉炎で1年の休養。競走馬として戻ってこれるかこれないかという状況から奇跡の再浮上を果たしたうえでの3連勝だった。

 鹿戸調教師にとっては現役時代に管理し、初GⅠ(ジャパンカップ)をプレゼントしてくれた最愛のスクリーンヒーローの産駒でのVで、弟子の三浦皇成との初タイトルというメモリアル重賞。つまりは、苦労と思い出がギッシリ詰まった勝ち鞍だ。こういうドラマ性を持った馬がアッと驚く激走を見せるのが競馬の面白さだろう。

「前走後は、ここ目標にきっちり仕上げてきました。1週前追い切り(9日=美浦南ウッド6ハロン86・0―38・8―12・0秒)もすごく良かったですよ」と鹿戸調教師。過去2戦のGⅠは皐月賞4着、ダービー17着に泣いたが、今は何より頼もしいパートナーがいる。

 デビュー時からゲート難を抱え、中で暴れてレースでひっかかるなどいう面も見せていた馬が、なぜか三浦が乗るとゲート内で暴れても出るのはスッと出る。全7勝を三浦とのコンビで稼いできたのは決して偶然ではない。

「以前は一本調子なタイプだったけど、最近はどんなペースにも対応できるようになって成長してきた。今の充実度なら大きな舞台でも」とトレーナー。弟子の悲願でもあるJRA・GⅠ勝利を〝奇跡の馬〟とともに成し遂げることが鹿戸調教師にとっての本懐。ドラマの最終章が今、始まる。

著者:東スポ競馬編集部