ジャパンカップ2022

[GⅠジャパンカップ=2022年11月27日(日曜)3歳上、東京競馬場、芝2400メートル]

【トレセン発秘話】今年は高松宮記念=丸田(ナランフレグ)、天皇賞・春=横山和(タイトルホルダー)、スプリンターズS=荻野極(ジャンダルム)、秋華賞=坂井(スタニングローズ)がそれぞれJRA・GⅠ初勝利を挙げている。昨年GⅠ5勝を挙げた横山武を筆頭に近年、若手騎手の台頭が著しいのはJRAにとっても喜ばしい状況のはずが…。

 ここのところ外国人騎手が続々と来日。ジャパンCではヴェラアズール=ムーア、ヴェルトライゼンデ=レーン、シャフリヤール=C・デムーロ、デアリングタクト=マーカンドが騎乗予定で、なかなか日本人の若手騎手にはチャンスがめぐってこないのが現状だ。そんな中だからこそ応援せずにはいられないのが、テーオーロイヤル=菱田裕二のコンビである。

「秋は結果を出せていないのに、また乗せていただける。それだけ責任を感じています。師匠の管理馬で思い入れは強いですし、一緒にGⅠを勝ちたいです」

 デビュー11年目の菱田は、師匠でもある岡田調教師の管理馬テーオーロイヤルでの悲願のGⅠタイトル奪取へ向けて、燃えに燃えているのだ。

 1勝クラスから初重賞制覇となったダイヤモンドSまで4連勝。勢いそのままに臨んだ天皇賞・春では、逃げたタイトルホルダーを勝負どころから果敢に負かしに行ってみせた。最後に脚が上がってしまい、離れた3着に敗れはしたものの、GⅠでも十分に戦えることを証明。そんな充実の春と比べると、秋2戦の結果はいただけないものとなったが…。

「オールカマー(5着)はいかにも休み明けという感じでゲートの出もいつもに比べて良くなかった。叩いたアルゼンチン共和国杯(6着)では状態は良く感じましたし、いいころのテーオーロイヤルに戻っていましたね。ただ、加速しだそうとした時に減速させられてしまいましたから…。むしろ改めて強さを感じる競馬でした」

 そう、アルゼンチン共和国杯のテーオーロイヤルは4角まで抜群の手応えで運び、あとは直線ではじけるだけだったのだが…。そこでアクシデントが発生した。逃げたキングオブドラゴンが内へ逃避してラチに衝突。その後、他馬と接触したことでテーオーロイヤルは完全にブレーキをかける形になってしまったのだ。そこから立て直し、しかも最重量57・5キロを背負いながら0秒2差まで押し上げたのだから「負けて強し」の競馬だったと言っていいだろう。

 デアリングタクトを無敗の牝馬3冠へと導いた松山でさえ、乗り替わる厳しい時代。秋2戦で結果を残せなかったテーオーロイヤルの手綱を引き続き任された菱田は、身の引き締まる思いで大一番に臨む。

「素質的には十分にGⅠを取れる馬だと思っています。今回は何としても結果を出したい」

 最高の結果を得られれば…。菱田にとって騎手人生のターニングポイントになることだろう。

アルゼンチン共和国杯では6着に敗れたテーオーロイヤルと菱田

著者:難波田 忠雄