[GⅠチャンピオンズカップ=2022年12月4日(日曜)3歳上、中京競馬場、ダート1800メートル]

砂の頂点に立ったジュンライトボルト

 4日、中京競馬場で行われたダート最高峰のGⅠチャンピオンズカップ(1800メートル)は、3番人気でダートGⅠ初挑戦のジュンライトボルト(牡5・友道)が差し切り勝ち。自身のGⅠ初制覇だけでなく、オーナー(河合純二氏)、鞍上・石川にとっても初GⅠ勝ちで、友道調教師もダートGⅠは初めて。記念すべき勝利の背景にあったのは? その本質をえぐってみたい。

 まさに蜂の一刺し。いや、閃光のごとき末脚との表現のほうが、馬名にはリンクするだろうか。

 目の覚めるような決め手を発揮し、ダートGⅠ初挑戦で栄冠を手にしたジュンライトボルト。ひと言でいえば、決め手勝ちしたレースだが、予想された以上にペースが落ち着き、ラスト2ハロンの数字は11秒9―12秒3と前が有利の状況。実際、ジュンライトボルトを除いた掲示板確保は、4角を4番手以内で回った馬ばかりだった。オーナー、ジョッキーがGⅠ初勝利なら、管理する友道調教師もダートGⅠは初。この〝初物尽くし〟に焦点を当てることは簡単だが、それのみに注視しては今回の一戦の本質を見失う。

「進路さえできればはじけてくれると信じていました。勝てるという反応でしたし、なんとか前を捕らえてくれと思って追いました」

 冷静な騎乗でVに導いた石川。だが、デビューから芝のレースを使い続け、スタッフの多くが「乗り味は芝」と現在も答えるジュンライトボルトをダートへと転向させたのは友道調教師。芝の中・長距離のイメージが強い厩舎カラーにこだわらなかった〝路線変更〟こそが、この勝利を呼び込んだ。

「正直、人気し過ぎていると思ったけどね」とレース後も苦笑い。だが、ダートに転じてからの明らかな変化は感じていたという。

「今回はプラス8キロ。筋肉量が増え、腹回りもしっかりとしてきた。ダート馬らしい体になってきたかな。芝の時ははじけ切れなかったけど、ダートでははじけることができた」と友道調教師。これを聞いた時、初ダートのジュライSでの路線変更について「芝ではじけることができなくなってきたので、ダートを試してみる」と答えた大江助手のコメントを思い出した。

 直線でどのようにはじけさせるか? それを考えて馬をつくってきたジュンライトボルト。早い段階からダート適性を感じていたとしても、そこで簡単に砂路線を選択しないのが友道流。適性を生かすより特徴を伸ばした過程が今回の勝因ではないだろうか。友道師も「芝を使っていたことも良かったんだと思うよ。いいタイミングでダートに転向できた。そこまで数を使っていないし、来年以降もダート路線で頑張っていきたい」。遅まきながらの転向ではなく、時期を見定めたうえでのシフトチェンジが5歳の秋だった。ダービー3勝をマークする名トレーナーに失礼かもしれないが、イメージにない舞台でのGⅠ勝利に過去一番の〝凄み〟を感じている。

著者:松浪 大樹