ダービーを制し笑顔の河内とアグネスフライト

 最後まで歯を食いしばって戦った。00年のGⅠ日本ダービーを制したアグネスフライト(牡)が11日、老衰のために社台ブルーグラスファームで息を引き取った。26歳。周囲に惜しまれながらの天国への旅立ちだった。

 現役引退後は北海道浦河町の日高スタリオンステーションで種牡馬生活を送り、種牡馬引退後は乗馬として活躍。15年9月からは社台ブルーグラスファームにて功労馬となり、悠々自適の放牧生活を送っていた。

 異変が起こったのは年明け。起立不能に陥り、懸命な治療が続く日々。最後は回復の見込みが立たないと判断され、安楽死の処置が取られた。社台ファーム場長の東礼治郎氏が労いの言葉を送る。

「回復を願ってきましたが、本日、とうとう力尽きました。26歳、最後まで立派でした」

 騎手時代の河内洋調教師にダービージョッキーの称号を与えた存在。2着馬エアシャカールとのゴール前のデッドヒートは、観客を含めた見るものすべてを熱くさせた。

「体をぶつけ合いながらもハナ差で勝利をもぎ取ったダービーのゴールシーンは鮮明に脳裏に焼きついています」と同場長。祖母アグネスレディーがオークス馬、母アグネスフローラは桜花賞馬。日本競馬史上初となる親仔三代クラシック優勝の偉業達成の瞬間だった。

「祖母の代から3代続けてクラシックレースを制した血のドラマに感動しました。長きに渡り、我々と過ごしてくれたことに感謝の気持ちで一杯です」と結んだ。

著者:東スポ競馬編集部