13年皐月賞を勝ったロゴタイプ

【血統値】社台スタリオンステーションといえば、数々の名種牡馬がけい養されてきた日本一の種馬場。現在もエピファネイア、ロードカナロア、コントレイルなどの人気種牡馬がけい養されている。

 今年からは2019年の朝日杯FS覇者サリオス(父ハーツクライ)が新たに加わる。さらに先日には、昨年の新種牡馬リーディングに輝いたマインドユアビスケッツと同じデピュティミニスター系で、21年の米GⅠペンシルベニアダービーを制したホットロッドチャーリー(父オックスボウ)の導入が発表された。

 新しく入ってくる種牡馬がいれば、当然、出ていく種牡馬もいる。今年はレッドファルクスとロゴタイプがレックススタッドに、サトノアラジンがブリーダーズスタリオンステーションにそれぞれ移動となった。

 サトノアラジンとロゴタイプはまだ2世代が出走したのみ。レッドファルクスに至っては、昨年の新種牡馬だ。改めて、種牡馬世界の競争は激しいものだと思い知らされる。

 皐月賞などGⅠ3勝のロゴタイプ(父ローエングリン)は、80万円と安価な種付け料もあって、初年度は97頭の牝馬を集めた。産駒ではラブリイユアアイズが新馬→クローバー賞を連勝。GⅡ京王杯2歳S3着、GⅠ阪神JF2着と活躍したが、後が続かなかった。種付け頭数も激減し、ここ2年は59頭(21年)、39頭(22年)と落ち込んでいた。

 5、6歳時にスプリンターズSを連覇したレッドファルクス(父スウェプトオーヴァーボード)の初年度成績はもっと厳しい。JRAでの勝ち馬は4頭だけで、2勝馬は1頭もいない(1月15日現在)。現時点では期待されたスピードが産駒には伝わらなかったようだ。19年は132頭に種付けして産駒数が83頭、20年は117頭に種付けして産駒数が75頭と受胎率が低いのも懸念材料で、昨年は初年度の約半数となる68頭にまで種付け頭数が減ってしまった。これでは移動もやむを得ない数字かもしれない。

 他方、6歳時にGⅠ安田記念を制し、早熟傾向にあるディープインパクト産駒にしては遅咲きだったサトノアラジンは他の2頭に比べれば、大物こそいないものの勝ち馬自体は多かった。

 21年には124頭もの牝馬を集めたが、22年は64頭に激減してしまった。これは血統面の問題が大きいだろう。ディープインパクト×ストームキャットという黄金配合だけに同配合のライバルが多い。確固たる地位を築きつつあるキズナに加え、リアルスティールも昨年の新種牡馬リーディングで2位と結果を残した。さらに昨年から種付けを開始したダノンキングリーも85頭に種付けしている。

 実績的には大きく目立つものがないサトノアラジンが押し出される形になったのだろう。しかしながら、シャトル先のニュージーランドでは2頭の重賞勝ち馬(グランドインパクト、セイクリッドサトノ)を出しており、持っているポテンシャルの高さは証明されている。

 21年に社台SSを出たジャスタウェイはGⅡ東京スポーツ杯2歳Sを勝ったガストリックを出し、リーチザクラウンはGⅡ・UAEダービーを制し、JBCクラシック、チャンピオンズCとGⅠレースで連続2着したクラウンプライドを送り出している。社台SSを離れた前述3頭にも新天地での活躍を期待したい。

著者:東スポ競馬編集部