
アメリカジョッキークラブカップ2023
[GⅡアメリカジョッキークラブカップ=2023年1月22日(日曜)中山競馬場、芝外2200メートル]
22日、中山競馬場で行われたGⅡアメリカJCC(芝外2200メートル)は、直線でインから早めに抜け出した岩田康騎乗の4番人気ノースブリッジ(牡5・奥村武)がそのまま押し切り、昨年のGⅢエプソムCに続く重賞2勝目をマークした。すっかりおなじみとなった岩田康とノースブリッジの名コンビ。強固な絆を紡いできた人馬が中距離路線の主役へ堂々と名乗りを上げた。
「奥村(武)厩舎には本当にお世話になっているので、恩返しをするのが自分の使命。この馬がGⅠの舞台に行って勝利できるような騎乗であり、パフォーマンスを見せたい」
レース後のインタビューで牧場や厩舎関係者への感謝を述べることはもはや〝定型文〟となった感もある。しかし、ノースブリッジの年明け初戦・アメリカJCCで勝利に導いた岩田康の言葉は儀礼ではなくまさしく本心といえよう。地方・兵庫からJRA移籍後は栗東をベースとしてきた48歳のベテランの姿を近年は美浦トレセンや関東エリアの競馬場で見かけることが多くなった。その理由の一つが美浦・奥村武厩舎の存在だ。昨年の奥村武厩舎への騎乗数31レース=6勝はトップの安田隆厩舎(39レース=10勝)に次ぐ数字となる。そして両者の関係を深めた競走馬がノースブリッジだった。
奥村武調教師との信頼関係
今回も2週続けて美浦トレセンでの追い切りに騎乗。「きっかけは葉牡丹賞(20年12月)。どのレースに行っても乗ってくれると言ってくれています。ボクには分かりませんが、あれだけの名馬にまたがってきたジョッキーが感じるところがあるからこそ、そこまでしてくれるのでしょう」と奥村武調教師も百戦錬磨のパートナーに対する全幅の信頼を隠さない。
実戦+調教を積み重ねることで鞍上とノースブリッジとの間でも関係性は深まった。5ハロン通過61秒3というスローの流れをインの4番手でジッと我慢。「中山2200メートルはすごく難関なコース。向正面からレースが動いた時もこの馬自身が冷静でいられたからこそ、ラスト3ハロンから進路を見いだしてファイトしてくれた」。パートナーを信頼しているからこそ、早めのタイミングでスパートを敢行し、確信をもって外から猛追したエヒトを3/4馬身差で退けられたといえる。
昨年は天皇賞・秋(11着)を最大目標としたため左回り克服に主眼を置いたローテが組まれたが「本来、得意なのは右回り」(奥村武調教師)ならば上半期は大目標に事欠かない。「この勝利でまたGⅠにチャレンジできる環境が整いました。これまで通りに在厩調整で大阪杯(4月2日、阪神芝内2000メートル)へ。条件も合うしレース間隔もちょうどいいすね」とトレーナーもGⅠゲットを現実的な目標と捉えている。
著者:東スポ競馬編集部