根岸ステークス2023
[GⅢ根岸ステークス=2023年1月29日(日曜)東京競馬場、ダート1400メートル]
29日、東京競馬場で行われた第37回GⅢ根岸S(ダート1400メートル)は1番人気に支持されたレモンポップ(牡5・田中博)が勝利。勝ち時計1分22秒5(良)。前走の武蔵野Sで連勝がストップしたが、得意の千四に戻って会心V。デビュー10戦目での重賞初制覇を成し遂げ、ダート界の新星として名乗りを上げた。冬の砂王決定戦・フェブラリーS(2月19日=東京ダート1600メートル)への展望を考察する。
先手を取ったのはオーロラテソーロ。ヘリオス、テイエムサウスダンが続き、その後ろにレモンポップの姿が…。この断然の1番人気馬はすんなりとレースの流れに乗れたかと思いきや「スタートはいつもより遅れた」と戸崎圭が振り返ったように、決して順風満帆の船出ではなかった。それに加えて、4コーナー手前から玉砕覚悟でジャスパープリンスが果敢にかぶせてくる。これが1番人気の宿命だろう。
これまで9戦中7戦でタッグを組んできた戸崎圭&レモンポップは終始、余裕しゃくしゃく。「早めに追い出すことになったけど、十分に手応えがあったから。パワー、スピード、センスがあって申し分ない馬。マイルはギリギリかもしれないけど、何とか克服できると思う。重賞を勝って勢いがついたし、さらに大きなところを取ってほしい」とパートナーにエールを送った。

一方、馬と同様、厩舎初の重賞制覇となった田中博調教師も「ホッとしています。管理馬の質が上がっているのでいつかは勝てるだろうと思っていましたが、同期が優秀で(苦笑)。早く彼らの仲間に入りたいと。ポップは開業当初から携わってきた馬なのでことさらうれしいです」と安堵の息をつく。もっとも、次なるターゲット=フェブラリーS参戦にはあくまで慎重だ。「千四と千六とのパフォーマンスの違いの見極め、レース後の状態の確認などオーナーと相談してから」と保留の態度を取ったが、出走となれば主役候補となるのは確定的だ。
というのも、目下フェブラリーSを連覇中のカフェファラオ、チャンピオンズCを制覇したジュンライトボルト、昨年の皐月賞馬ジオグリフなどの有力馬はサウジC(現地時間2月25日)を目指しているため、今年は空き巣といった状況に。「明け5歳とはいえ、まだまだ変わってきそうな雰囲気」(同師)と現状無理遣いは禁物だが、実際問題ビッグチャンスはそうそう巡ってくるものではなく、何より田中博&レモンポップのフレッシュチームが一気呵成にGⅠ制覇を成し遂げてしまうのでは…そう思わざるを得ない完全無欠の勝ちっぷりだった。
著者:東スポ競馬編集部