
東京新聞杯2023
[GⅢ東京新聞杯=2023年2月5日(日曜)東京競馬場、芝1600メートル]
1分34〜35秒台の低速決着に収まっていた15〜18年から一転、19年はいきなり1分31秒台(1分31秒9)の高速決着へと方針転換。その後も20年=1分33秒0→21年=1分32秒4→22年=1分32秒3と速めの時計での決着が続いている。
厳寒期とは思えぬ時計のハードルが出現した主たる要因は、前後半3ハロンともに34秒台というよどみない流れ。19年=34秒5→34秒7、20年=34秒7→34秒9、21年=34秒9→34秒3、22年=34秒7→34秒3と最大落差0秒6までのMペースを刻んでしまえば、思わぬ降雨や降雪にでも見舞われない限りは1分31〜32秒台前半の高速時計に着地するのも当然だろう。
そうなると、東京コースにありがちなスローペースからの決め手勝負というステレオタイプのイメージを頭の中から捨て去る必要が出てくる。事実、13年以降の過去10年まで枠を広げても、最速上がりをマークしてのVゴールは昨年のイルーシヴパンサーのわずか1例。重視すべきは府中の長い直線での爆発力=瞬発力よりも、よどみない流れの好位〜中団から確実にひと脚を伸ばせるレースセンス&Mペースに対する耐性ということになる。
プリンスリターンはオープン→リステッド→リステッドと3連勝中。屈腱炎さえなければ…と思わざるを得ないタイミングでの離脱だったとはいえ、2走前のポートアイランドSが前後半3ハロン34秒9→34秒7。前走のキャピタルSは同34秒4→34秒7とMペースの経験値も豊富だ。近3走すべてで中団から33秒台後半〜34秒台前半の上がりを確実に叩き出しているのは絶対能力の証左に他ならない。1年2か月ぶりの復帰戦がいきなりのGⅢと条件的には厳しいものの、破竹の4連勝で待望の重賞初制覇達成も決して夢物語ではあるまい。
著者:東スポ競馬編集部