高松宮記念を前にナランフレグは落とせない一戦に

オーシャンステークス2023

[GⅢオーシャンステークス=2023年3月4日(土曜)中山競馬場、芝外1200メートル]

 2006年にGⅢへ昇格するとGⅠ高松宮記念の前哨戦としての性格を強め、14年からは1着馬に同レースの優先出走権が与えられるようになった。同年における出走馬の高松宮記念制覇は過去4例。12年カレンチャン(4着)から空白があったが、昨年はナランフレグ(牡7・宗像)が当レース2着から本番でGⅠかつ重賞初制覇を達成した。東の王道ローテとして定着するかは今年の出走馬の飛躍にかかっている。

 そのナランフレグは昨年の高松宮記念優勝後から未勝利も、掲示板を外した2走は距離が長かったGⅠ安田記念(9着)と海外初遠征のGⅠ香港スプリント(10着)なら割り引く必要はない。同舞台のGⅠスプリンターズSでは0秒2差3着と春のスプリント王の意地を見せている。高松宮記念連覇を目指すためにも、メンバーが大幅に弱化した今回は勝利で弾みをつけたいところだ。

 他の登録馬は実績で大きく水を開けられている感が否めない。ヴェントヴォーチェ(牡6・牧浦)は昨夏のGⅢキーンランドCで重賞初制覇を達成。続くスプリンターズSではナランフレグから0秒4遅れの11着に敗れているが、リステッド・春雷Sで1分06秒8の好タイムVがあるように舞台適性そのものに不安はない。ルメールを確保しての復帰戦でどれだけのパフォーマンスを披露できるか?

 ジュビリーヘッド(牡6・安田隆)は今年1月のカーバンクルSの勝ち馬。オープン入り初戦のGⅢ函館スプリントSをいきなり2着好走も、昨年後半はGⅢキーンランドC7着→GⅢ京阪杯10着と失速…。しかし、3着を外したことがない好相性の中山に舞台が戻った前走で改めて実力を誇示した。。父のロードカナロアを筆頭にダノンスマッシュ、カレンチャンら数々の名スプリンターを送り出してきた安田隆厩舎は来年2月いっぱいで定年を理由に解散予定。今年が6ハロンGⅠを狙える実質的なラストイヤーとなるだけに、〈2・1・1・0〉と相性抜群のコースで行われる前哨戦を制して勢いに乗りたいところだ。

 マリアズハート(牝7・菊沢)は新潟芝直1000メートルで21年ルミエールAD(リステッド)、22年韋駄天S(オープン)勝ち。その一方で、当舞台でも春雷S&カーバンクルSで2着とコーナーのあるコースを苦にしない。ナランフレグとの直線対決は2戦2敗だが、直近のGⅢ2走が4→5着と崩れていないだけにノーマークにはできない。

 昇級組ではエイシンスポッター(牡4・吉村)、キミワクイーン(牝4・奥村武)ともに芝1200メートルは十分なだけに得意舞台でどこまで実績勢に迫れるか。またグラスミヤラビ(牝4・杉浦)は大江原厩舎が定年→解散のため転厩初戦がいきなりの重賞挑戦となる。

著者:東スポ競馬編集部