
チューリップ賞2023
[GⅡチューリップ賞=2023年3月4日(土曜)阪神競馬場、芝外1600メートル]
重馬場でラップ2分割(前後半4ハロン)48秒5→49秒2→マイル1分37秒7の消耗戦となった2015年を境に様相が一変。翌16年以降は1分32〜33秒台の高速決着がデフォルトになりつつある。
その要因のひとつが阪神外回りコースのイメージにそぐわないタイトなラップ構成。16年以降の前半3ハロン通過の最大値である2021年(36秒3)でも、後半の3ハロンは34秒8=前後差1秒5に収まっている。馬場状態、メンバー構成によっては前後半3ハロンともに34秒台を刻むケースも十分。本番を見据えてかどうかはともかく、紛れの生じにくいハイレベルな一貫ペースになりやすいのはさすが桜花賞の最重要トライアルといったところか。
前半ラップと後半ラップの差が縮まったことで、割を食っているのが後方待機→直線一気を狙う純粋な瞬発力型。16年以降の近7回で最速上がりをマークして勝利したのは16年=シンハライト、18年=ラッキーライラック、そして昨年のナミュールの3頭しかいない。コース形態ゆえスローペースからのヨーイドンの傾向が強い条件と思われているだけに、この瞬発力型の低打率は決して見逃せないポイントだろう。
格で一枚上をいくのがGⅢ札幌2歳S勝ちのドゥーラ。ただ、キャリア4戦すべてで最速上がりをマークと明らかな瞬発力型だけに全幅の信頼は置きづらい。逆に、食指が動くのは展開に注文のつかないダルエスサラーム。7ハロンのよどみない流れでモマれた経験値は、むしろこのステージでこそ生きるはずだ。当舞台でも3走前に勝ち鞍があるだけに、安心して買える存在だと断言できる。
著者:東スポ競馬編集部