破竹の4連勝で父カラヴァッジオの名声を高めたアグリ

【血統値】2月26日、阪神競馬場で行われたGⅢ阪急杯(芝内1400メートル)は、今年から日本で供用されるカラヴァッジオ産駒の持ち込み馬アグリ(牡4・安田隆)が2番手から抜け出して優勝。1勝クラスから一気の4連勝で重賞初制覇を飾った。

 カラヴァッジオの父スキャットダディは愛・仏・英・米と4か国の2歳GⅠを制し、日本でも供用されたヨハネスブルグの産駒。自身は米9戦5勝で2歳時にシャンペンS(ダート8ハロン)、3歳時にはフロリダダービー(ダート9ハロン)と2つのGⅠを制した。

 種牡馬としては無敗の米3冠馬ジャスティファイ、欧州2歳牝馬チャンピオンのレディオーレリアなどを輩出。日本ではミスターメロディがGⅠ高松宮記念に優勝するなど産駒は世界中で活躍していたが、2015年に11歳という若さで急逝している。

 カラヴァッジオの母メッコホクテはトラヴァーズSなど米GⅠ6勝のホーリーブルの娘で、デルタミスSなど米3勝。また、カラヴァッジオの半姉にあたるマイジェン(父フサイチペガサス)は社台ファームが輸入し、GⅢファルコンSを勝ったプルパレイ、GⅢ札幌2歳S2着のサトノゴールドを産んでいる。

 アイルランドの名門エイダイ・オブライエン厩舎から2歳の4月にデビューしたカラヴァッジオは、8月のフェニックスSを4馬身の圧勝で制し、無傷の4連勝でGⅠ初勝利を飾った。同馬を管理したA・オブライエン師はそのスピードについて、「最終追い切りで時速45マイル(約72・4キロ)を計時した。今までのバリードイル(大馬主クールモアの調教基地)で一番速い馬です」と語っている。

 3歳時にはクラシックではなくスプリント戦に向かい、愛GⅢラッケンSを楽勝すると、続く英GⅠコモンウェルスCも制し、デビューからの連勝を6に伸ばした。しかし、続く英GⅠジュライCで初の敗戦(4着)を喫すると仏GⅠモーリスドゲスト賞も連敗(6着)。愛GⅡフライングファイヴSを勝利後、GⅠ英チャンピオンS3着を最後に引退した。

 18年からアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入り。父スキャットダディの後継として人気を集め、初年度は217頭に種付けした。その後、21年からは米国のアシュフォードスタッドへ移動。そして、昨年末からは日本軽種馬協会の静内種馬場でけい養されている。

 初年度産駒は21年にデビューし、テネブリズムがチヴァリーパークS(英GⅠ・芝6ハロン)、ジャンブラ賞(仏GⅠ・芝1400メートル)とGⅠを2勝の活躍を見せ、この年の欧州新種牡馬リーディングサイアーに輝いている。

 2月10日に開催された日本軽種馬協会種牡馬展示会ではトップバッターを務めたことからも期待の大きさが分かるカラヴァッジオ。300万円の種付け料ながら、すでに満口という人気ぶりだ。アグリの阪急杯制覇で日本の軽い馬場への適性を見せたことで、カラヴァッジオの株はさらに高騰することだろう。次走を予定しているGⅠ高松宮記念の結果次第ではさらに…の可能性すらある。

 同じ日本軽種馬協会静内種馬場で供用されたヨハネスブルグは全欧&全米2歳チャンピオンという歴史的名馬ながら、大物を出せず、日本で父系を発展させることはできなかった。孫となるカラヴァッジオは期待に応えることができるだろうか。

著者:東スポ競馬編集部