函館2歳S覇者ブトンドールは今後を占う一戦に

フィリーズレビュー2023

[GⅡフィリーズレビュー(桜花賞トライアル)=2023年3月12日(日曜)阪神競馬場、芝内1400メートル]

 近5年のレーティングは106→107→106→107→107。3歳GⅡ(牝馬限定戦)の基準レーティング106は、かろうじて満たしており数字上はGⅡの看板に偽りはないのだが…。〝肌感覚〟としてはチューリップ賞(2018年に昇格)との横並びは違和感がある。桜花賞まで中3週という間隔で行われる芝内回り1400メートルという条件では、本番を見据えた場合、どうしても存在感が薄くなるのは仕方あるまい。

 とはいえ、GⅠに向けて優先出走権(3着以内)の発生する大事なトライアル戦であることに違いはない。たとえ本番に結果としてつながらなくても、昨年の2着馬ナムラクレアはその後にスプリント重賞2勝、一昨年に2着したヨカヨカも北九州記念制覇と先々への〝収穫〟はあるレースなのだ。

 今年のメンバーで実績最上位はブトンドール(池添)。GⅢ函館2歳S1着→GⅢファンタジーS2着と能力は確かだが、マイルのGⅠ阪神JFではラスト1ハロンで伸びあぐねての10着と現状では7ハロン以下がベターだろう。桜花賞への再トライか、それとも短距離路線か…。今後の方向性を決める一戦となる。

 そのファンタジーSでこのブトンドールを破って重賞Vを決めたリバーラ(高柳瑞)も前走の阪神JFではいいところなく18着大敗。しかし、距離適性や気性面の若さが出たもので参考外と見ていいだろう。ファンタジーSと同じ舞台なら見直したいところだ。

 イティネラートル(長谷川)も阪神JF13着大敗からの巻き返しを期す。リバーラ同様に阪神芝7ハロンで勝ち鞍(りんどう賞)があり、このレースは狙い澄ましての一戦だろう。半姉アマルフィコーストは18年の同レースでスタート直後の落馬で競走中止の憂き目に。そのリベンジを果たす走りを見せられるか。

 阪神で2勝を挙げるムーンプローブ(上村)、2戦2勝トラベログ(岩戸)、未勝利→1勝クラス連勝中のポリーフォリア(鈴木伸)、萌黄賞を快勝したルーフ(清水久)といった賞金900万円組はここで本番への出走を確実にしたいところ。また、賞金400万円組も一発権利取りを狙う勝負態勢だ。前走のリステッド・エルフィンSを筆頭にキャリア3戦すべてで最速上がりをマークするシングザットソング(高野)、新馬戦で非凡なスピードを見せたハートループ(池添)らも注目したい。

著者:東スポ競馬編集部