
金鯱賞2023
[GⅡ金鯱賞=2023年3月12日(日曜)中京競馬場、芝2000メートル]
快速の逃げ馬パンサラッサがサウジカップで歴史的偉業を達成。改めて逃げ馬がクローズアップされるこのタイミングで行われる金鯱賞。1998年のサイレンススズカの圧倒的な逃亡劇を思い出すファンも多いだろう。5ハロン通過58秒1と〝普通の馬にとっての〟ハイペースで逃げを打ち、そのまま後続を寄せつけることなく1秒8差V。伝説の金鯱賞として語り草となっている。
あれから四半世紀、当時は宝塚記念へのステップレースとして5月に行われていたが、2012年からは年末施行・有馬記念へのステップ、17年からは3月施行・大阪杯への前哨戦と施行条件はコロコロと変化。それでも、それぞれのポジションで確固たる地位を築いてきた伝統のGⅡ戦だ。
今年はやや小粒感は否めないものの、それだけに唯一のGⅠ馬ポタジェ(牡6・友道)はここで存在感をアピールしたいところだろう。昨年の大阪杯で劇的勝利を収めた後はGⅠで2桁着順続きと低迷が続くが、その近走や近2年(3→4着)の同レースと比べてもメンバーが大幅に楽になるのは間違いない。新コンビの岩田望を迎え、斤量59キロを克服しての復活Vなるか。
昨年のGⅢラジオNIKKEI賞勝ち馬フェーングロッテン(牡4・宮本)は芝10ハロンの重賞で3着2回。コースや展開を問わない堅実さが武器だ。高松宮記念で復帰を迎える半兄ピクシーナイトの〝前祝い〟となる勝利を狙う。
牝馬の重賞ウイナーもスタンバイ。小倉記念勝ち馬マリアエレーナ(牝5・吉田)は当舞台で1、3、2、3着と安定感抜群の成績を残す。昨秋の天皇賞では1角で不利を受けながら0秒7差7着と善戦。重賞2勝目を手にして大舞台を目指す。また、昨年の愛知杯でそのマリアエレーナを破って重賞タイトルを手にしたルビーカサブランカ(牝6・須貝)も中京は得意コース。連覇を狙った前走のGⅢ愛知杯では展開不向きで8着に敗れたが、末脚の生きる流れなら巻き返しがあっても。ちなみに牝馬の金鯱賞制覇がかなえば、95年サマニベッピン以来28年ぶりとなる。
ハヤヤッコ(牡7・国枝)やアラタ(牡6・和田勇)らも重賞の常連ながらワンパンチ足りない現状。それならば勢いある〝挑戦者〟を狙う手もある。
プログノーシス(牡5・中内田)はまだキャリア7戦。重賞初挑戦となった前走のGⅢ中日新聞杯で初めて馬券圏内を外したが、0秒1差の4着は悲観するものではない。4戦4勝の川田とのコンビ復活で初タイトルを狙う。また、タイトルホルダーが勝った21年菊花賞の5着馬ディープモンスター(牡5・池江)、中京4戦4勝のヤマニンサルバム(牡4・中村)らも上位に食い込む素質は秘めている。いずれも〝格〟では劣るものの、初戴冠のチャンスは十分だ。
著者:東スポ競馬編集部