
フィリーズレビュー2023
[GⅡフィリーズレビュー(桜花賞トライアル)=2023年3月12日(日曜)阪神競馬場、芝内1400メートル]
12日、阪神競馬場で行われた桜花賞トライアル(1〜3着馬に優先出走権)のGⅡフィリーズレビュー(芝内1400メートル)は、2番人気のシングザットソング(牝3・高野)が優勝。抽選を突破して出走にこぎ着けた1勝馬が重賞初制覇で桜花賞への出走権を獲得した。勝ち時計は1分20秒7(良)。レース後のコメントなどから、混戦を制した勝因と今後の展望を考察する。
上位3頭はクビ+クビの大混戦。勝ったシングザットソングは2番人気と一定の評価を受けていたが、2着のムーンプローブは7番人気、3着のジューンオレンジは11番人気の伏兵馬。下馬評通りの難しいレースであったことは間違いない。
もっとも、早い段階で前を射程圏内に入れ、直線でこれを捕まえに行った勝ち馬と、ハイペース(前半3ハロン33秒2)に乗じて差し込んできた2、3着馬では評価を別にすべきで、騎乗した吉田隼も「速い流れを自分から負かしにいった。強い内容」と振り返っている。着差以上の能力差、との評価でいいだろう。
では、これほどの馬が2勝目を挙げるのに苦労していた理由は何か? それは2戦連続で失敗してきたスタート。ゆえに中間はゲート練習に時間を割いてきたと高野調教師は言う。「いろいろとやりましたよ。最後はジョッキーに乗ってもらって、両サイドにも馬を置いて。そのかいもあって今日のレースでは上手に出てくれた」
だが、これでオールOKとならないのが悩ましいところだ。「まずはひとつ前の壁をクリアしたところ。競馬を使っての馬のテンションと体調面。(今後は)先生と相談しながら…になると思います」と吉田隼。高野調教師も「穏やかにレースへと臨めたかといえば、そうでない挙動を見せていた…とジョッキーからの情報が入っています。左に流れるように走っていましたが、それは他馬から逃げてのものか、それ以外のものなのか…。苦しい競馬で勝ち切ってくれた心肺機能の高さから、マイルの距離(桜花賞)でも大丈夫と考えていますが、その前にレースで上手に走れるかどうか。その部分ですね」と課題を挙げた。
桜花賞までの時間は残りわずか。スタート難を克服した陣営の次の一手に注目したいところだ。
著者:東スポ競馬編集部