スプリングステークス2023

[GⅡスプリングステークス(皐月賞トライアル)=2023年3月19日(日曜)中山競馬場、芝内1800メートル]

 過去10年で1番人気は2勝のみ。今週末の19日に行われる皐月賞トライアルのGⅡスプリングS(中山芝内1800メートル=3着までに優先出走権)は、人気通りにはいかないレースだ。混戦模様のメンバーの今年は“大荒れ”まで針が振れる可能性がある。前走で大万馬券を叩き出した爆走の穴馬ウィステリアリヴァが再度波乱の立役者となる。

 前走の未勝利戦は単勝12番人気とは思えないほどの華麗なる逃げ切り勝ち。3連単90万円超の大波乱を巻き起こしたのがウィステリアリヴァだ。勝ちタイムの1分47秒6は、当レースで有力視されているベラジオオペラが同開催で記録したタイムより0秒4速い。週が違うので単純比較は難しいが、自分でレースをつくり、デビュー戦から一気に「2秒4」も時計を縮めた点は評価できる。

 思い返せば、デビュー前から陣営の評価は高かった。「まだ緩いけど、調教は動けているし、いいものを持っている」と話していたのは小野調教師。実際にデビュー戦でその片鱗は示していた。出負け気味のスタートから器用に立て直して中団を追走。直線もじわじわと伸びて5着。11番人気の低評価を覆す“奮走”だった。

 その後、体が締まった2戦目では、前述した通り、鮮やかな逃げ切りラン。この時も成長を遂げていたというが、今回も同じぐらいの上昇ムードが漂っているというから見逃せない。小野師は「さらにパワーアップしている」とニヤリ。1週前追い切りでは美浦の坂路で4ハロン54・9―12・7秒。時計はごく普通だが、持ったままで力強く駆け上がってきた姿には、目下の充実度が表れていた。「まだ子供だし、まだまだよくなる馬だけど、さらによくなっている。具合はいいし、能力はある」(小野師)。デビュー戦↓2戦目で一気に2秒以上走破時計を縮めた馬が、同じぐらいの成長を遂げたというなら…。未勝利で大駆けを決めた“フロックホース”と軽んじるのは非常に危険だ。

 過去に“逃げ”の戦法を取った馬が多数出走する今年のスプリングS。本馬もそのうちの一頭だが、「前走はたまたま行っただけ。まだレースの形は決まっていない」と逃げにこだわる姿勢は見せていないのも心強い。

 陣営が描くのは、行く馬を行かせ、マイペースでの好位キープ? 父は2013年のスプリングS→皐月賞を連勝したロゴタイプ。再び大万馬券を叩き出しても驚けない。

弥生賞タスティエーラに続く父子制覇で再びの大波乱を演出する

著者:東スポ競馬編集部