
6日、大井の藤田輝厩舎に所属するマンダリンヒーロー(牡3・父シャンハイボビー、母ナムラナデシコ、母の父フジキセキ)が、米GⅠサンタアニタダービー(4月8日=サンタアニタパーク競馬場、ダート9ハロン)への参戦を表明。地方所属馬による米国遠征は史上初となるだけに、大きな注目を集めている。
大井競馬場は1995年にサンタアニタパーク競馬場と友好交流提携を結んでおり、同レースには大井競馬場所属馬の出走枠(最大2頭)が設けられている。マンダリンヒーローはハイセイコー記念(SⅠ)など5戦4勝の成績で規定ポイントを獲得していた。
マンダリンヒーローの父シャンハイボビーは、昨年まで4年連続で北米リーディングサイアーに輝くイントゥミスチーフと同じハーランズホリデー(ストーミキャット系)の産駒。2歳時はシャンペンS(ダート8ハロン)、BCジュヴェナイル(ダート8・5ハロン)のGⅠ2勝を含む5戦5勝の成績で、文句なしに12年の米2歳牡馬チャンピオンに選ばれている。
3歳時は故障もあり3戦(1勝)しただけで現役を退いた。北米での種牡馬成績は目立ったものはないが、シャトル先のブラジルとチリでは多数のGⅠ馬を送り出しており、日本では現3歳が初年度産駒となる。
母のナムラナデシコは未勝利馬ながら、半兄には11年のGⅢ北九州記念の勝ち馬トウカイミステリー、04年のGⅡニュージーランドトロフィーとGⅢファルコンSで3着に入ったナムラビッグタイム、02年のGⅢアイビスサマーダッシュ3着馬タイキメビウスがいる。
そして祖母タイキミステリーの半姉となるのがクロフネミステリー(父クレヴァートリック)だ。「タイキ」の冠こそついていないが、大樹ファームの初期の所有馬で藤沢和雄厩舎に所属。芝の1200〜1600メートルを中心に使われていたが、6歳時(※現5歳=95年)にダート1200メートルの900万特別、1500万特別を連勝すると、日本では知名度のない米GⅡディスタフH(ダート7ハロン)に出走。日本で重賞にも出たことがない馬が3着と好走したことは当時、話題となった。
このレースが藤沢和調教師にとって初の海外遠征だった。96、97年にはタイキブリザードがBCクラシックに2年続けて挑戦。13、6着と結果は残せなかったが、この経験が98年のタイキシャトルの仏GⅠジャックルマロワ賞(芝1600メートル)制覇で実を結ぶこととなる。外国産馬の活躍で一世を風靡した大樹ファームの絶頂期でもあった。
今年の南関東3冠は来年からの大改革を控えており、中央勢のいない最後の年。そんな状況下にありながら、意欲的に米国遠征を決行する関係者のチャレンジ精神には敬意を表したい。マンダリンヒーローにとって、ダートの本場・米国のGⅠはハードルが高いことには違いないが、血統的な背景を踏まえれば期待も湧いてこよう。父のシャンハイボビーは今回と同じサンタアニタパーク競馬場で行われたBCジュヴェナイルを制しており、母の父フジキセキの父サンデーサイレンスは89年のサンタアニタダービーの勝ち馬。そして、祖母の姉クロフネミステリーは初めての米ダート重賞出走馬なのだから、血が騒いでくれることを祈らざるを得ない。
著者:東スポ競馬編集部