菊花賞馬アスクビクターモアが満を持して始動

日経賞2023

[GⅡ日経賞=2023年3月25日(土曜)中山競馬場、芝内2500メートル]

【トレセン発秘話】先週の阪神大賞典。1、2着馬がゴール板を駆け抜けた瞬間、ホッとした自分がいた。予想が○◎△で的中したからではない。この原稿の前振りにイメージしていた「強い4歳世代」というフレーズが無駄にならなかったから。4歳馬ジャスティンパレス、ボルドグフーシュがワンツーフィニッシュ。2着に敗れたとはいえ、有馬記念で2着したボルドグフーシュの力は本物だったことを証明し、同時に4歳世代のレベルの高さを改めて見せつけた一戦だった。

 もはや、ためらうことなく堂々と「強い4歳世代」という言葉を使っていいだろう。今週はドバイでイクイノックス、ドウデュースという4歳世代の看板馬2頭が世界制覇を目指し、高松宮記念でも4歳世代が上位人気を形成する。さらにダートのマーチSでも4歳ハピが重い印を集める。そして当コラムの今回のターゲット、日経賞=アスクビクターモアだ。今週は国内外で4歳世代が大躍動する週末となりそうだ。

 さて、そのアスクビクターモアは強い4歳世代の菊花賞馬。秋クラシックはドウデュース、イクイノックス不在だったために“鬼のいぬ間に”という感もあったが、菊花賞組が前述の通りの活躍。本人(馬)が出走せずとも評価が“うなぎ上り”となっている。

 1週前追いの後、「この世代は本当に強いよね」と世代レベルの高さを口にした田村調教師。古馬一線級との初対決となる日経賞については「タイトルホルダーなど強い馬が出てくるし、胸を借りる立場」としながらも、この世代の代表格の一頭としての自負もあろう。

 菊花賞Vの後は無理せず休養へ。これが功を奏し、牧場にいるころから「すごく馬が良くなっている。彫刻みたいだろ?」と報道陣に写真を披露していた。「牧場(山元TC)の方々は本当に頑張ってくれた。1年頑張ってきた後の休養、そこから立ち上げ、そして本番モードに近づけていく、この3つを100点満点でやってくれた」と充実の“冬休み”を過ごしてきたようだ。

「帰厩してからも余裕をもって調整できたし、さらに進化してきた。セントライト記念のころよりも上がっている」と続けてスケールアップした姿を約束した師。昨年のGⅠ2勝馬タイトルホルダー相手に最強世代の菊花賞馬がどんな走りを見せるのか?“4歳馬祭り”の先陣を切る快勝劇、そして4歳馬勢揃いの超豪華GⅠがいつの日か実現することを期待したい。

著者:山口 心平